鑑真大和上に会いに、
いざ「唐招提寺」へ
唐招提寺といえばやはり、国宝『鑑真和上坐像』。
貴重な像をこの目で見るため、実際に行ってまいりました。ここではその日の拝観の流れについてご紹介いたします。
まだ拝観したことがないという方、次回開催時にぜひ行ってみたいという方のご参考になりましたら幸いです。
唐招提寺の歴史や見どころなどについて知りたい方は下記の記事も併せてぜひご覧ください。
実際の拝観の流れを見る前に、鑑真大和上と『鑑真和上坐像』についてさらっとご紹介いたします。
そもそも鑑真大和上ってどんな人?
お坊さんになるためには、授戒師(じゅかいし)と呼ばれるお坊さんから「戒(お坊さんとしての戒め)」を受ける必要がありました。
しかし、仏教が日本に伝わって以降、日本には高名な授戒師がいなかったため、戒を受けずにお坊さんになる「私度僧(なんちゃってお坊さん)」が続出することになりました。
それに困った聖武天皇は唐から授戒師を招くことを決意し、そこで日本に来られたのが戒律を重んじる宗派・律宗の鑑真大和上でした。
ただ、鑑真大和上は密告や暴風雨などにより5回も渡日に失敗し、5回目の渡日では失明したと言われています(失明したのは日本に来た後だったとか、白内障だったとも言われています)。
そして、6回目でやっと無事に来日され、東大寺で大々的な授戒式を行いました。その時に受戒したのが聖武上皇や皇后の光明皇后、娘の孝謙天皇などです。
国宝『鑑真和上坐像』について
- 国宝
- 技法:脱活乾漆造
- 完成年:天平宝字7年(763年)
- 像高:80.1cm
- 場所:御影堂(みえいどう)「松の間」
『鑑真和上坐像』は、鑑真の弟子・忍基(にんき)が講堂の梁が折れる夢を見て、鑑真の死期が迫っていると悟り、他の弟子たちと造ったとそうです。
完成は鑑真が亡くなった天平宝字7年ごろとみられ、日本最古の肖像彫刻と言われています。
『鑑真和上坐像』が安置されているのは、御影堂の「松の間」にある厨子(ずし)の中です。
そして、毎年6月5~7日の3日間だけその厨子の扉が開かれます。
言葉を変えると、『鑑真和上坐像』は毎年6月5~7日の3日間しか拝観できません!
御影堂自体普段は入れません
なぜ6月5~7日なのかというと、鑑真和上がお亡くなりになったのが6月6日(旧暦の5月6日)で、その日とその前後1日ずつということになっています。
※年によって変更する場合もありとのこと
ちなみにですが、境内にある「開山堂」というところに鑑真和上坐像の「お身代わり像」が置かれているので、時期を逃した方はそちらで我慢してください笑
「お身代わり像」と言っても本物と遜色ありませんが、経年の風合いにはかなり違いがあります
『鑑真和上坐像』拝観までの流れ
では『鑑真和上坐像』を拝観するまでの流れをご紹介します。
まだ行ったことがない方は、下記の流れを次回開催時までにシミュレーション(?)しておいてください。
通常拝観料を支払い、境内に入る
まずは拝観受付で拝観料を支払って境内に入ります。
通常なら入口にある券売機で拝観券を購入する形ですが、この日は受付の人に直接お金を支払い拝観券を受け取ります。
そして、南大門前に立っている人に拝観券を見せて境内に入ります。
特別拝観とのセット券はありません
私が行ったのは最終日の7日で、まだ唐招提寺の拝観時刻前ということもあり、そんなに人はいないだろうと思っていましたが、すでに南大門前には結構多くの参拝者がいらっしゃいました…
そりゃあ、今日逃したら来年まで待たないといけませんもんね
特別拝観料を支払い、整理券を受け取る
境内をそのまま進むとテントがありますので、そちらで特別拝観料を支払います。
特別拝観料は下記の通りです。
- 大人:1000円
- 中学生・高校生:400円
- 小学生:300円
特別拝観料を支払ったら整理券を受け取ります。
私はキリの良い「60」番。なんか幸先良さそう笑
整理券には入場時間が書かれているので、そちらを必ずチェックしておいてください。
入場時間外に行っても入れません
私はまだ入場時間まで少し時間があったので、その時間を利用して境内を回ったり、御朱印をいただきました。
御朱印は複数ありますが、折角なのでこの日にちなんで「鑑真大和上」バージョンにしました。
通常は御朱印帖に書いていただけますが、特別拝観期間中は書置きのみとなります
御影堂へ行き、順番を待つ
整理券に書かれた入場時間になったら、鑑真大和上がいらっしゃる御影堂に行きます。
御影堂は境内の北側にあります。南大門(拝観受付)からそのまま奥へ奥へ行くようにすると御影堂に着きます。
御影堂の中も人数制限があるので、御影堂の中が混んでいるとそのまま御影堂の外で待つことになります。
6月の中途半端に暑い時期ですし、御影堂の中は飲食禁止なので事前の水分補給は万全に!
御影堂の中へ入り、御対面
御影堂の中の人数制限が解除されたら、御影堂の門の中に入ります。
門の中に入る時に参拝記念品をいただけます。
ただ、御影堂内でも結構の方が並んでいらっしゃいますので、なかなか進めません…
これ以降は写真撮影禁止です
ゆっくりゆっくり進んでいき、御影堂の縁側で待つこと約15分…やっと鑑真大和上が拝める「宸殿の間」に入り、そして御対面!
5人くらい集まって『鑑真和上坐像』の前に座り拝みます。
すぐ側にはお坊さんがいらっしゃり、5秒ほどすると「どうもありがとうございました」と強制終了になり次のグループと交代になります。
こんなに待って5秒で終わり…ちょっと残念
さすがに5秒で帰るのは名残惜しいのか、「宸殿の間」の空いたスペースに多くの方が座っておられます。
拝み足りないという方は遠巻きながらそちらで『鑑真和上坐像』を拝観することができます。
個人的な感想ですが、『鑑真和上坐像』とやや距離があったためか、思っていたよりはやや小さく感じました。
ただ、手は印を結び、堂々と瞑目しておられる姿は本当に生身の人間のようで、何とも言えない霊験みたいなものを感じました。
千年以上経っても赤い顔料(?)がまだはっきりと残っているところも印象的なので、ぜひ生でご覧いただくことをおすすめします!
御影堂は『鑑真和上坐像』だけじゃない!
御影堂は『鑑真和上坐像』だけではなく、襖絵も見逃せません!
御影堂内の襖絵は東山魁夷(ひがしやまかいい)画伯によって描かれたもので、構想から10年を超える歳月がかかったそうです。
淡い色味の幻想的な画風が印象的で、ぜひ襖絵にも注目してみてください。
折角なので…
御影堂から東へ歩いて2分ほどのところに鑑真大和上が眠る「鑑真和上御廟」があります。
一面苔むして幻想的なところなのでおすすめです。
折角なので手を合わせていただきました。
唐招提寺へのアクセスと拝観情報
唐招提寺へは最寄駅から徒歩で行くか、最寄りのバス停まで奈良交通バスを利用して行く方法があります。
最寄駅から徒歩で行く場合
唐招提寺の最寄り駅は、近鉄橿原線「西ノ京」駅です。
改札口を出て「東出口」の階段を上がると、すぐ前に薬師寺の参道がありますのでそのまま進みます。
そうすると南北に延びる道路に出てきます。右手側に薬師寺の赤い門が見えますので、そちらとは逆の方向(北)へ進みます。
約9分ほど歩くと突き当たりになり、右手側に唐招提寺の南大門(拝観受付)があります。
奈良駅からバスで行く場合
JR奈良駅、近鉄奈良駅から出ている奈良交通バスをご利用される場合は、バス停「唐招提寺」が近いです。バス停を降りると目の前が唐招提寺です。
1つ手前に「唐招提寺東口」というバス停がありますが、そちらではありませんので注意してください
※ただし奈良駅へ帰る時は「唐招提寺東口」から乗らないといけません
バスの乗車時間はJR奈良駅からですと約17分、近鉄奈良駅からですと約22分になります。
⇒JR奈良駅から「唐招提寺」への時刻表
⇒近鉄奈良駅から「唐招提寺」への時刻表
拝観時間 | 8:30~17:00 (受付は16:30まで) |
拝観料 | 【通常拝観】 大人:1000円 中学生・高校生:400円 小学生:200円 ※団体割引あり (30名以上) ※身障者割引あり 【新寶蔵(期間限定)】 大人:200円 中学生・高校生・小学生:100円 【鑑真和上坐像特別公開(6/5~6/7)】 大人:1000円 中学生・高校生:400円 小学生:300円 |
所在地 | 奈良市五条町13-46 |
TEL | 0742-33-7900 |
ホームページ | https://toshodaiji.jp/ |
その他 | 有料駐車場有 (乗用車150台) 新寶蔵は期間限定で拝観可 |
関連記事
唐招提寺の簡単な歴史や見どころなどをご紹介しています。『鑑真和上坐像』の拝観に際して、予習用(?)としてご覧いただければと思います。
鑑真大和上がいらっしゃった東大寺の戒壇院では現在四天王像を見ることができます。『鑑真和上坐像』も素晴らしいですがこちらの四天王像もおすすめです。
仏像といったら興福寺の国宝館もおすすめです。有名な阿修羅像など数々の仏像や宝物をみることができます。個人的におすすめの仏像や宝物をご紹介します。
奈良の古寺にはたくさんの仏像がありますが、これはぜひ見て欲しい思う仏像をご紹介します。『鑑真和上坐像』のような特別拝観時しか見られないものはあえて省いています。
よつぐ
奈良県在住(出身は大阪)。ひょんなことから奈良に引っ越すことになり、たまたま行った長谷寺をきっかけにお寺好きになりました。奈良県出身者ではないからこその視点で、奈良の古寺の良さや奥深さをお伝えできればと思っています。