斑鳩には法隆寺・法起寺・法輪寺の三つの塔、いわゆる「斑鳩三塔」があります。

いずれも国宝に指定された貴重な塔です。

しかし、「法輪寺の歴史」でもご紹介したように、昭和19年(1944年)に法輪寺の三重塔が落雷により焼失してしまいました。

戦前・戦後の真っ只中ということもあり再建は困難を極めましたが、地元の方々をはじめ、作家の幸田文らの尽力によりとうとう昭和50年(1975年)に再建されました！

残念ながら法輪寺の三重塔は焼失してしまった時に国宝指定が解除されてしまいましたが、再建にかける人々の熱い思いはまさに国宝級です！

法輪寺でぜひ見ていただきたいのが講堂にいらっしゃる、法輪寺御本尊の『薬師如来坐像』。

こちらの薬師如来坐像は、現存する飛鳥時代の木彫りの如来像としては唯一にして最大と言われています。

特に注目していただきたいのがそのお顔立ち。

仏像と言うと丸みのあるお顔のイメージがあるかと思いますが、こちらはやや面長なお顔立ちです。また、腕が異常に短く、かなり平面的なお体になっています。

ぱっと見ると法隆寺金堂の御本尊である『釈迦如来像』に似ていますが、それもそのはず！

作者は同じ鞍作止利(くらつくりのとり)と言われています。

初期仏像の特徴が色濃く表現されている貴重な仏像ですので必見です。

また、合わせて注目していただきたいのが、「虚空蔵(こくぞう)菩薩立像」。

こちらはすらっとしたお姿で、なんとなく法隆寺百済観音堂の「百済観音」に似ています。

その他、割と目がギョロっとされた講堂の御本尊『十一面観音菩薩立像』や、邪気ではなく俵に乗った毘沙門天像など、珍しい仏像もあるので、仏像好きさんにはご満足いただけるはず！

古代寺院に行ったらぜひ注目していただきたいのが伽藍配置(建物の配置)。

現在の法起寺の伽藍配置は大雑把に下図のようになっています。

お寺に詳しい方だと、この伽藍配置を見てピンと来るはず。

はい、こちらの伽藍配置は実は法隆寺と全く同じです。
※その名の通り、「法隆寺式伽藍配置」と言われています

このことから、法輪寺はかなり法隆寺を意識して造られたことが見え隠れします。

ちなみに、近くにある法起寺は塔と金堂が真逆になります。