奈良古寺【西大寺】
西大寺についてAbout Saidaiji
西大寺は近くに幼稚園があるので、子供たちの元気な声が境内に響く心和むお寺です。
まずは西大寺の歴史について簡単に見ていきますね
真言律宗総本山(山号は「勝宝山」)。南都七大寺の一つ。
天平宝字8年(764年)、称徳天皇(当時は孝謙上皇)が恵美押勝(えみのおしかつ)の乱の平定を祈願して、四天王像の造立を発願したのが始まり。その後伽藍が整備されていきました。
称徳天皇の父・聖武天皇が建立した「東大寺」に匹敵するほどの伽藍だったそうですが、天災等による被害で次第に衰退していきました。
鎌倉時代に入って、叡尊(えいそん)上人により再建復興がされましたが、室町時代に兵火により多くの被害を受けました。今現在の伽藍は江戸時代に入ってから再建されたものだそうです。
顔をすっぽり覆う大きなお茶碗でお茶を飲む「大茶盛」でも有名です。
西大寺の見どころ5選Highlights
西大寺の見どころを5つ厳選してご紹介いたします。
ぜひここに注目しながら拝観してみてください
神秘的キラキラ本堂
西大寺の一番の見どころはやはり「本堂」です。他のお寺の本堂と比べても大きく、威風堂々としたどっしりとしたお堂に感じました。
本堂は外観だけでなく、堂内も素晴らしいです。光のともった金色の灯籠があちこちに置かれていて、薄暗い内陣をキラキラと輝かせています。とても神秘的で荘厳な印象を醸し出しています。
御本尊は「釈迦如来立像」で、大きいというわけではないですが、中央でドシンと存在感があります。
個人的に圧巻だったのが本尊の左側にある「文殊菩薩騎獅坐像」。文殊菩薩様の何もかも見抜いているよと言わんばかりの眼差し、そして文殊菩薩様が乗る獅子像は今にも動き出しそうです。西大寺の文殊菩薩様は書籍にもよく取り上げられているので必見です。
西大寺オリジン・四王堂
西大寺は称徳天皇が四天王像造立の発願をしたことから始まります。その四天王像を祀るためのお堂が「四王堂」で、四王堂を起点に伽藍が整備されていきました。
つまりこの四王堂こそ「西大寺オリジン(元祖西大寺)」といえます。
四王堂のご本尊は「十一面観音菩薩像」で、高さは約6mもあることから存在感があります。「おお、遠いところまでよく来たな」という感じの眼差しを前に、とんでもございませんと合掌。
そして御本尊をお守りするかの如く四天王像が置かれています。四天王像自体は後の時代に再建されたものですが、四天王に踏まれた邪鬼のみ創建当時(奈良時代)のものといわれています(増長天に踏まれた邪鬼のみという説もあり)。
切なく残る東塔跡
本堂のすぐ目の前に東塔の跡があります。基壇部分(石が積まれているところ)に近づくことはできませんが、基壇の上に礎石がいくつか残っているのが見えます。
元々は八角形の七重塔を東西に並べて建立する予定でしたが、結局は四角形の五重塔になったようです。
※基壇は創建当時のもので、周りの柵の部分が当初予定していた八角形の基壇跡
残念ながら東塔は室町時代に兵火により焼失してしまいました。
ちなみに、少し離れたところに「西塔跡」もありますが、こちらは石碑が立っているだけです。西塔は平安時代に雷火により焼失したそうです。
秘仏「愛染明王坐像」
本堂に向かって左側に「愛染堂」というお堂があります。こちらの御本尊は「愛染明王坐像」で、秘仏なので残念ながら特別拝観時しか見られません。
※幸運にも私はたまたま行った時に見ることができました。
やや小ぶりな像ですが、愛染明王独特の存在感のある表情、そしてお線香やローソクのすすなのか、やや黒みがありますが、その分、不動明王特有の赤がより一層映えて見えます。
またこちらでは、西大寺を再興された叡尊上人(興正菩薩)の像もあり、弟子達が協力して造ったそうです。伸びた眉毛、頭の血管の浮き、ほうれい線、おでこや眉間のシワなど、とてもリアルに再現されています。
見え隠れする道鏡の影
西大寺を創建した称徳天皇といったらやはり僧・道鏡の存在は外せません。称徳天皇は道鏡を寵愛し頼っていた部分もあったことから、西大寺の伽藍整備にも道鏡の関与があったのではと想像できます。
道鏡の出身地である八尾市(大阪府)の市民団体は、道鏡の法要を毎年西大寺で行っていたそうで、最近では「道鏡禅師像」が奉納されました。
※この道鏡禅師像は四王堂で見ることができます(かなりイケメンです笑)。
天皇を惑わし、自ら天皇の座に就こうとしたという悪僧のイメージが強い道鏡…真偽はわかりませんが、西大寺に来るとどうしても道鏡の存在が見え隠れします。
ぐるっと西大寺Around Saidaiji
西大寺の境内には他にも注目してほしいスポットや展示物があります。
ここでは厳選してご紹介します。
境内をゆっくり一回りした場合の所要時間は45分くらいです
西塔跡
東塔跡から約30mほど行ったところにあります。石碑のみが立っていて、近づくことはできません。近くには緑色の平和観音像があります。
聚宝館
西大寺に伝わる仏像や宝物などが収蔵されているところです。ただし、特別拝観時しか入ることができません。拝観には別途拝観料がかかります。
護摩堂(不動堂)
江戸時代に建立されたもので、元々は愛染堂の近くにあったものを移建したそうです。毎月28日にはこちらで護摩祈願が行われます。
鐘楼
元は摂津の多田院にあったもので、西大寺に移建されたようです。大晦日には参拝者によって除夜の鐘が撞かれるそうです。
本坊
西大寺の寺務所であり、なおかつ真言律宗の宗務所にもなっているところです。裏では愛染堂と廊下伝いにつながっているそうです。
大黒堂
愛染堂の前にある小さなお堂で、元は三光院というところにあったそうです。永正元年(1504年)に造られた大黒天を祀っています。
清瀧権現社
清瀧権現(せいりゅうごんげん)は真言密教の守護神とされています。周りには池があり、私が参拝した時はきれいな花が咲いていました。
西大寺南門
境内の現存する建物の中では古く、室町時代に再建されたものです。しかし現在では東門からしか入れなくなっています。
御朱印
「釈迦如来」と書いていただけます。拝観前に伝えておくのが良いです。本堂の他、愛染堂でも御朱印がいただけます。
アクセスと拝観情報Access & Information
西大寺へは最寄駅から徒歩で行くか、最寄りのバス停まで奈良交通バスを利用して行く方法があります。
最寄駅から徒歩で行く場合
西大寺は、近鉄「大和西大寺」駅が最寄駅になります。
「南出口」を出るとすぐ前にバス停がありますので、その縁を沿うように進んでいき、右に曲がれるところがあるので曲がります。
そのまま進んでいくと西大寺の「東門」があります。
奈良駅からバスで行く場合
JR奈良駅、近鉄奈良駅から出ている奈良交通バスをご利用される場合は、バス停「大和西大寺」で降ります。
バス停から西の方角へ向かって約2分歩くと西大寺の「東門」に着きます。
バスの乗車時間はJR奈良駅からですと約20分、近鉄奈良駅からですと約23分になります。ただし乗るバスによって経由地が異なりますので、乗車時間が異なる場合があります。
⇒JR奈良駅から「大和西大寺」への時刻表
⇒近鉄奈良駅から「大和西大寺」への時刻表
拝観時間 | 8:30~16:30 (受付は16:00まで) |
拝観料 | 大人:800円 中学生・高校生:600円 小学生:400円 ※団体割引あり (30名以上) ※身障者割引あり |
拝観料は「本堂」「四王堂」「愛染堂」のいずれかで支払い、一度支払うと三堂すべて拝観できます。ただし、「聚宝館(年間3回のみ開館)」は別途拝観料かかります。
所在地 | 奈良市西大寺芝町1-1-5 |
TEL | 0742-45-4700 |
ホームページ | http://saidaiji.or.jp/ |
その他 | 駐車場有 (バス可) JAFクーポン有 |
ちょっとそこまでNeighborhood
西大寺の周辺にある観光スポットやおすすめのスポットをいくつかご紹介します。
お時間があればぜひ一緒に行ってみてください
佐紀高塚古墳
大和西大寺駅から北東へ徒歩10分ほどのところにあります。「高野陵(たかののみささぎ)」とも呼ばれ、西大寺を創建された称徳天皇の陵と言われています。
秋篠寺
大和西大寺駅からバスで5分ほどのところにあります。本堂にある「木造伝伎芸天立像」は、その美しいお姿から”東洋のミューズ”と呼ばれ称賛されています。
⇒秋篠寺についてはこちらをご覧ください
喜光寺
西大寺から南へ16分ほど歩いたところにあります。養老5年(721年)に行基が創建したと言われる古寺です。ハスの名所としても有名です。
平城宮跡歴史公園
世界遺産。平城京の大内裏があったところです。西大寺から西へ20分ほど歩いたところにあります。バスで行くなら大和西大寺駅から「大極殿方面」のバスに乗ると便利です。
西大寺周辺地図
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称徳天皇の父である聖武天皇が創建されたお寺です。大仏殿や二月堂、戒壇堂など見どころ豊富です。鹿にも会えます。
称徳天皇の母である光明皇后が創建されたお寺です。静かなお寺で、少し一服できる光月亭があります。
西大寺を再興された叡尊上人は般若寺の復興にも関わっています。西大寺と同じ真言律宗のお寺です。
西大寺の文殊菩薩も素晴らしいですが、安倍文殊院の文殊菩薩は高さ7mと日本最大です!ぜひ見比べてみてください。