奈良古寺【法起寺】
法起寺の歴史
About History
法起寺(聖徳宗)は山号を「岡本山」といい、過去には池後(いけじり)寺、池後尼寺、岡本寺、岡本尼寺、岡本院などとも呼ばれていました。
法起寺はどんな歴史を経たのか、簡単に見ていきましょう!
推古天皇30年(622年)、聖徳太子の子・山背大兄王(やましろのおおえのおう)が岡本宮を寺に改めたのが始まり。
※ちなみに岡本宮は、推古天皇14年(606年)に聖徳太子が法華経を講説されたところと言われています。
伽藍は金堂・三重塔・講堂などがありましたが、戦国時代頃には三重塔以外はすでに存在していなかったと考えられています。
江戸時代には真政圓忍(しんせいえんにん)やその弟子たちによって再興され、講堂の再建や聖天堂の建立が行われました。
平成5年(1993年)には法隆寺とともに、世界文化遺産に登録されました
法起寺の見どころ
Highlights
法起寺の見どころを次の2つ+1に厳選しました。
では、それぞれ詳しく見ていきますね!
現存最古!
『三重塔』
法起寺の一番の見どころというと、国宝『三重塔』。
法起寺の三重塔の建立は慶雲3年(706年)で、度々修理は行われているものの、現存最古の三重塔と言われています。
千年以上も凛としてこの場所に建っていることを考えると感慨深いです
法隆寺の五重塔や薬師寺の三重塔と同じく、上層に向かって小さくなっていく、いわゆる「逓減(ていげん)の大きい」塔になっているのが特徴です。
ちなみに、法隆寺の五重塔・法起寺の三重塔・法輪寺の三重塔を合わせて「斑鳩三塔」と呼ばれています。
斑鳩三塔はすべて国宝に指定されていましたが、法輪寺の三重塔のみ昭和19年(1944年)の落雷により焼失してしまいましたので、国宝指定が解除されました。
伽藍に注目!
「法起寺式」伽藍
古代寺院に行ったらぜひ注目していただきたいのが建物の配置方法、いわゆる「伽藍配置」です。
現在の法起寺の伽藍配置は大雑把に下図のようになっています。
現在「聖天堂」があるところにはかつてお寺の本堂といえる金堂があったそうで、東に塔、西に金堂、そして奥に講堂が置かれるスタイルになっています。
こういった伽藍配置は「法起寺式伽藍配置」と言われています。
「法起寺式」という名前が付いているくらいなので、法起寺はこのスタイルのパイオニアだということです
一方、法隆寺は中央に講堂があるのは同じですが、塔と金堂が法起寺と逆さま(東に金堂、西に塔)になっています。
ちなみに、こちらは「法隆寺式伽藍配置」と言われています。
ここは〇〇寺と同じだ!とか、ここは〇〇寺とは違うなぁなど、伽藍配置に注目して拝観するのも面白いですよ!
秋がおすすめ!
彼岸花&コスモス
法起寺は田園に囲まれていて、周辺には彼岸花やコスモスが植えられています。
毎年シーズンになると(彼岸花は9月下旬ごろ、コスモスは10月中旬~11月上旬ごろが見頃)、撮影スポットとして多くの観光客で賑わいます。
時期によっては次のように彼岸花とコスモスの共演を見ることができます!
ぜひ、カメラかスマホを持ってお越しください!
ぐるっと法起寺
Around Hokiji
法起寺は大きなお寺ではないため、境内に特に目立ったスポットはありません。
ここでは主なものを取り上げます。
境内をゆっくり一回りした場合の所要時間は15分くらいです
講堂
旧講堂跡に、元禄7年(1694年)に再建されました。こちらの御本尊『木造十一面観音菩薩立像』は現在収蔵庫に安置されています。旧講堂の礎石もいくつか残っています。
収蔵庫
講堂にあった『木造十一面観音菩薩立像』など、複数の仏像が安置されています。ただ、ガラスに光が反射して、十一面観音菩薩以外あまりよく見えないのが残念。
聖天堂
現在の聖天堂は文久3年(1863年)に僧・順光の発願により建てられました。こちらには歓喜天像が安置されています。ここはにかつて金堂(本堂)がありました。
鐘楼跡
法起寺にかつてあった鐘楼の跡です。鐘楼は延享4年(1747年)に建立されましたが、いつまで残っていたのかは不明です。
御朱印
法起寺の御朱印です。御本尊である『木造十一面観音菩薩立像』にちなんで、「十一面観音」と書いていただけます。御朱印は拝観受付で書いていただけます。
アクセスと拝観情報
Access & Information
法起寺へは法隆寺から徒歩で行くか、最寄りのバス停までコミュニティバスを利用して行く方法があります。
法隆寺(東院伽藍)から徒歩で行く場合
法隆寺の東院伽藍(夢殿)の門を出て右方向へ行きます。
そこから北東の方角へ進んでいくと法起寺の西門に着きます。徒歩だと20分くらいです。
※法起寺には南側にも門がありますが、そちらから出入りすることはできませんので、必ず西門へ行くようにしてください
徒歩で行くのがしんどい場合は、「法隆寺iセンター」でレンタサイクルを利用してください!
各駅からバスで行く場合
法起寺へはJR法隆寺駅(コミュニティバス)、近鉄郡山駅、JR/近鉄奈良駅からバスが出ています。法起寺の最寄りのバス停は「法起寺(前)」です。
⇒JR法隆寺駅から「法起寺」への時刻表
⇒近鉄郡山駅から「法起寺前」への時刻表
⇒JR奈良駅から「法起寺前」への時刻表
⇒近鉄奈良駅から「法起寺前」への時刻表
バス停を降りたら1分ほど歩いたところに法起寺の拝観入口(西門)があります。
拝観時間 | 8:30~17:00 (2/22〜11/3) 8:30~16:30 (11/4〜2/21) |
拝観料 | 大人(中学生以上):300円 小学生:200円 ※団体割引あり (30名以上) 2025年3月より拝観料が変わります。詳しくはこちらをご覧ください。 |
所在地 | 奈良県生駒郡斑鳩町大字岡本1873番地 |
TEL | 0745-75-5559 |
ホームページ | http://www.horyuji.or.jp/hokiji/ |
その他 | 無料駐車場有 |
ちょっとそこまで
Neighborhood
法起寺の周辺にある観光スポットやおすすめのスポットをご紹介します。
お時間があればぜひ一緒に行ってみてください
法輪寺
法輪寺は法起寺の西に位置する古寺で、徒歩9分ほどです。法起寺と同じく山背大兄王が創建したといわれています。こちらでは「薬師如来坐像」「虚空蔵菩薩立像」「十一面観音菩薩立像」などを拝観することができます。
⇒法輪寺についてはこちらをご覧ください
(伝)山背大兄王墓所
法起寺西門から西へ6分ほど歩いたところ(法輪寺への道中)にあります。ここは山背大兄王の墓所・富郷(とみさと)陵墓の参考地として見られています。
法隆寺
聖徳太子が創建したお寺です。世界最古の木造建築や、飛鳥時代の初期仏像が見られます。法起寺から南西へ徒歩20分ほどで、法隆寺の東院伽藍(夢殿など)に着きます。法起寺と一緒に拝観することをおすすめします。
⇒法隆寺についてはこちらをご覧ください
中宮寺
法隆寺夢殿のすぐ隣にあります。中宮寺は聖徳太子が母のために創建した尼寺で、光沢のある「菩薩半跏像」は必見です。本堂ではお線香なのか、すごく甘い香りがします。拝観者のために解説音声が用意されています。
⇒中宮寺についてはこちらをご覧ください
法起寺周辺地図
以上、法起寺についてでした!
こちらのページが拝観のご参考になりましたら幸いです^^
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山背大兄王が創建したお寺と言われています。飛鳥時代の初期仏像や、再建された三重塔が見られます。法輪寺は徒歩圏内です。
山背大兄王の父・聖徳太子が創建したお寺です。法隆寺へはやや遠いですが、できれば一緒に行かれることをおすすめします。
同じく山背大兄王の父・聖徳太子が母・間人(はしひと)皇后のために創建したお寺です。法隆寺東院伽藍のすぐ近くにあります。
法起寺と同じく「太子建立七大寺」の一つで、国宝第1号『弥勒菩薩半跏思惟像』でお馴染みの古寺です。