奈良古寺【海龍王寺】

旅行や留学の安全のご利益があるとされる古寺、海龍王寺。

本ページは…

  • 海龍王寺の歴史について簡単に知りたい!
  • 海龍王寺の見どころを厳選して知りたい!
  • 海龍王寺の境内やその近くには何があるの?

そんな希望や疑問をお持ちの方のために作成いたしました。

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それではまずは、海龍王寺の歴史から見ていきますね!

海龍王寺の歴史

海龍王寺(真言律宗)は山号を「佐保山」といい、かつては「隅寺(すみでら)」や「隅院(すみいん)」と呼ばれていました。

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海龍王寺はどんな歴史を経たのか、簡単に見ていきましょう!

藤原不比等の邸宅内に元々あった土師(はじ)氏の氏寺が前身で、天平3年(731年)に光明皇后(藤原不比等の娘)の発願により「隅寺(隅院)」が創建されました。
※「隅寺」や「隅院」の名前の由来は、この寺が藤原不比等の邸宅の北東隅にあったことから

初代住職は玄昉(げんぼう)で、彼は学問僧として遣唐使に随行したことがあり、唐からの帰国途中暴風雨に見舞われますが、「海龍王経」を一心に唱えたところ無事に帰国できたという出来事がありました。そのことにちなみ、聖武天皇から「海龍王寺」という寺号を賜りました。

その後、平安遷都、応仁の乱、明治期の廃仏毀釈の影響により荒廃しますが、昭和40年以降に復興が進み、現在に至っています。

海龍王寺の見どころ

海龍王寺の見どころを次の2つ+1に厳選しました。

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では、それぞれ詳しく見ていきますね!

価値あるミニ!
国宝『五重小塔』

海龍王寺でぜひ見ていただきたいのが、西金堂内に安置されている国宝『五重小塔』。

ちなみにこちらの『五重小塔』は、法隆寺の五重塔などと同じ「建造物」の部類になり、国内最小(高さ4.01m)の五重塔です。

組物が精緻に作られていることが素人目にもわかり、当時(奈良時代)の建築様式を知る上で資料的価値が高いようです。

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元興寺にも同じ奈良時代の五重小塔(国宝)がありますが、海龍王寺の五重小塔の方が古いと言われています

なぜ小塔になっているのかというと、海龍王寺は藤原不比等邸の一角にあったということもあり、実際の五重塔を建てるほどの広さが足りなかったため、このように小さくしたのではないかと考えられています。

西金堂の真向いにかつてあった東金堂にも五重小塔があり、そちらとともに東西両塔を構成していたと考えられています。

さすが達筆!
『隅寺心経』

海龍王寺でこちらも貴重なのが、本堂内に展示されている『隅寺心経(すみでらしんぎょう)』。

こちらは奈良時代に書かれたと思われる般若心経で、なんとあの弘法大師・空海直筆と伝わっています。

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空海はよく海龍王寺に通っていたそうです

堂内は撮影禁止なので実際にお見せすることはできませんが、これがまたパソコンのフォントじゃないのかというくらい一文字一文字丁寧に書かれていて、かなりの達筆です。

ちなみに世の中に出回っている写経のお手本はこの『隅寺心経』が雛形になっているとか。

ですので、海龍王寺は「写経発祥の寺」や「写経の聖地」と呼ばれています。

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海龍王寺の境内には専用の写経所があり、写経体験ができます(事前予約制・別途費用要)

その他、聖武天皇直筆と見られる「海龍王経」があります。

こちらも『隅寺心経』と同じように達筆で、聖武天皇の筆遣いってこういう感じなんだと驚かされました。

ですが、こちらは特別公開時(辰年のみ?)しか見ることができません。

貴重な秘仏!
『十一面観音菩薩立像』

海龍王寺で忘れてはならないのが、やはり御本尊の『十一面観音菩薩立像』。

『十一面観音菩薩立像』は本堂でご覧いただけます。

光明皇后が自ら彫られた十一面観音像をもとにして、鎌倉時代になって慶派の仏師により彫られたと伝わっています。

お体は主に金色になっていますが、衣や装身具などは緑色になっていて、これがまた金と緑が結構合っていて、上品な印象を醸し出しています。

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堂内は写真撮影不可のため、写真が載せられません…

ただ残念ながらこちらの十一面観音立像は秘仏で、毎年3月下旬~4月上旬、5月上旬、10月下旬~11月上旬しか御開帳されていません。

御開帳の時は近づいて見ることができるようになっているので、ぜひ時期が合いましたらご覧ください!

ぐるっと海龍王寺

見どころで取り上げたもの以外で、海龍王寺の境内で気になったものをご紹介します。

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境内をゆっくり一回りした場合の所要時間は25分くらいです

表門(山門)

海龍王寺の表門は室町時代に造られました。また、周りは味のある築地塀(土塀)で囲まれていて、非常に趣があります。

本堂

ここにはかつて中金堂があり、その後に現在の本堂が建っています。現在の本堂は寛文年間(1665年ごろ)に建立されたものと考えられています。

経蔵

海龍王寺に伝わる経典や文書を納めていたところです。現在のお堂は正応元年(1288年)に建立され、室町時代と江戸時代に修理され、昭和40年代に解体修理が行われました。

西金堂

天平3年(731年)に建立され、海龍王寺創建当時からある建物です。鎌倉時代と昭和40年代に修理が行われていますが、一部奈良時代の木材がそのまま使われているそうです。

東金堂跡

西金堂の真向かいにかつてあった東金堂の跡です。廃仏毀釈のあおりを受け、現在は基壇の跡を残すのみとなっています。こちらにも五重小塔があったそうです。

海龍王寺の雪柳

海龍王寺では150株の雪柳が自生していて、季節になるとよく奈良のローカルニュースでも取り上げられています。見頃は例年3月下旬から4月上旬ごろです。

御朱印

本堂でご住職自ら書いていただきました。「妙智力(みょうちりき)」は、観音経の中にある「観音妙智力」から来ているようで、観音様の素晴らしい智慧の力という意味だそうです。

御朱印(辰年限定)

「海龍王寺」の寺号にちなみ、辰年限定でいただける御朱印です。金の龍が絵描かれています。12年に1回しかチャンスがないので御朱印好きの方はおすすめです。

アクセスと拝観情報

海龍王寺へは最寄駅から徒歩で行くか、最寄りのバス停まで奈良交通バスを利用して行く方法があります。

最寄駅から徒歩で行く場合

海龍王寺の電車の最寄り駅は近鉄「新大宮」駅です。

新大宮駅から北西(平常宮跡)の方向に向かって行くと海龍王寺に到着します。

新大宮駅から徒歩だと約19分ほどになります。

奈良駅からバスで行く場合

海龍王寺の最寄りのバス亭は「法華寺」で、JR/近鉄奈良駅、近鉄大和西大寺駅から奈良交通バスが出ています。

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「法華寺北町」や「北法華寺町」という似た名前のバス停が近くにあるので注意してください

バス停「法華寺」から北に向かってへ進むと同じ通り沿いに海龍王寺の山門が見えます。

バスの乗車時間はJR奈良駅から約16分、近鉄奈良駅から約9分、大和西大寺から約9分になります。
JR奈良駅から「法華寺」への時刻表
近鉄奈良駅から「法華寺」への時刻表
大和西大寺駅から「法華寺」への時刻表

拝観時間9:00~16:30
(特別公開時:9:00~17:00)
拝観料大人:500円
中学生・高校生:200円
小学生:100円

特別公開時
大人:600円
中学生・高校生:300円
小学生:100円
所在地奈良市法華寺町897
TEL0742-33-5765
ホームページhttps://kairyuouji.jp/
その他無料駐車場有

ちょっとそこまで

海龍王寺の周辺にある観光スポットやおすすめのスポットをご紹介します。

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お時間があればぜひ一緒に行ってみてください

春日社

海龍王寺の南側にあり、「法華寺」バス停の近くにある神社です。元は海龍王寺の鎮守社となっていました。毎月1日と15日しか本殿に近づくことはできません。

法華寺

海龍王寺と同じく光明皇后ゆかりのお寺で、歩いて5分ほどのところにあるので、一緒に参拝されることをおすすめします。5月には杜若(かきつばた)が見ごろを迎えます。
法華寺についてはこちらをご覧ください

海龍王寺周辺地図

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以上、海龍王寺についてでした!

こちらのページが拝観のご参考になりましたら幸いです^^

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