【興福寺・国宝館】
絶対見てほしい
仏像・宝物5選!
興福寺に行ったら国宝館はマストです!素晴らしい仏像や宝物に巡り会えます。
ここでは興福寺の国宝館で個人的にこれは絶対に見てほしい!という仏像や宝物を計5つ厳選してご紹介します。
ぜひ拝観の参考にしていただければと思います。
興福寺全体の見どころや拝観情報、周辺スポットなどについて知りたい場合は下記もあわせてご覧ください。
興福寺の国宝館は、元は食堂(じきどう)があった場所に建てられた鉄筋コンクリート造りの文化財収蔵庫です。
国宝館では31の主要展示物の他、古文書や絵画、考古遺物、歴史資料が収蔵・展示されています。
31の主要展示物は次のとおりです。
※各数字は国宝館の展示番号で、赤文字になっているものが国宝(黒文字は重要文化財)になっています。
- 1:中金堂鎮壇具
- 2:木造弥勒菩薩半跏像
- 3:木造金剛力士像 (阿形)
- 4:天燈鬼立像
- 5:龍燈鬼立像
- 6:木造金剛力士像 (吽形)
- 7:木造千手観音立像
- 8:木造化仏・飛天
- 9:木造釈迦如来像頭部(木造仏頭)
- 10:木造帝釈天立像
- 11:木造梵天立像
- 12:銅造灯籠
- 13:銅造灯籠火袋羽目
- 14:木造釈迦如来坐像
- 15:木造板彫十二神将像
- 16:銅造仏頭
- 17〜19:脱活乾漆造十大弟子立像
- 20:銅造華原馨
- 21〜23:脱活乾漆造十大弟子立像
- 24〜31:脱活乾漆造八部衆立像
赤文字が占める割合からもわかる通り、まさに「国宝館」の名にふさわしい展示内容になっています
国宝館で絶対に見てほしい仏像・宝物はこれ!
国宝館で展示されているものはすべて見る価値のあるものばかりですが、「これは絶対に見て欲しい!」「これはじっくり時間をかけて見てほしい!」というものをご紹介いたします。
ここでご紹介するのは次の5つです。
それでは順番に見ていきます。
残念ながら館内は撮影禁止で、書籍やパンフレット等にも著作権があるので写真が載せられません…ぜひ現地でご覧ください!
忘れ去られた傑作『銅造仏頭』
国宝館の中で個人的に一番じっくり見てほしいと思うのが、国宝『銅造仏頭』です。
その名の通り仏像の頭部しかありません。
頭部だけでも高さが1m弱あるので、元はまあまあ大きな仏像だったことが想像できます。
で、そもそもなぜ頭部しかないのかなど、この仏頭の背景を知るとますますじっくり見たくなるはずです。
それについて少しご説明します。
治承4年(1180年)、平家による南都焼き打ちの際、興福寺のお堂や仏像は大半が焼失しました。
その後すぐに復興計画が持ち上がり、東金堂の再建がなされました。しかし、東金堂は再建されたものの、御本尊がまだありませんでした。
業を煮やした興福寺の僧侶たちは、飛鳥の山田寺にあった薬師如来像(685年製作)を勝手に持っていってしまい、その薬師如来像を東金堂のご本尊にしました。
まぁ、早い話が山田寺の薬師如来像を強奪したということですね…
ただ、応永8年(1411年)の火災により、その薬師如来像の首から下が焼失し、頭部のみが残りました。
その後、応永22年(1423年)に新しいご本尊の薬師如来像(現在の御本尊)ができたこともあり、この仏頭はその新しい御本尊の台座にしまわれました。
そしてしまわれることなんと500年!昭和12年の東金堂の解体修理を行なっていた際、たまたま発見されました。
500年も台座にしまわれ、忘れ去られていた白鳳時代の傑作。こういう背景を知ってみると、なんとなく憂いを感じるお顔に見えます。絶対に見る価値ありです。
ちなみに、『銅造仏頭』の左耳部分が欠損していますが、これは火災で持ち運んだ際、僧侶が誤って落としてしまったからだと言われています。
国宝館には「木造釈迦如来像頭部(木造仏頭)」という似たものもありますので、そちらとお間違いなく!
永遠のアイドル『阿修羅像』
興福寺と言ったら真っ先に『阿修羅像』を思い浮かべる方も多いかもしれません。
平成21年(2009年)に東京と福岡で行われた『国宝・阿修羅展』は大盛況となり、阿修羅人気だけでなく仏像人気にも一役買いました。
※この展覧会をきっかけに仏像好きを名乗る人が増えたとも言われています
美少年にして華奢な体型…女性の心を鷲掴みにしてしまいました。
興福寺の『阿修羅像』は国宝館に来ればいつでも見られますよ!
(展示会等で貸し出される場合を除く)
こちらの阿修羅像も『銅像仏頭』などと同様、興福寺の火災の中を生き抜いてきました。
重さが軽いため、持ち運びの良さが幸いとなり救出はされましたが、損傷は免れませんでした。補修はされたものの、現在でも一部の指先が欠けてしまって中の鉄芯が見えています。
ちなみに、こちらの阿修羅像は『八部衆』と言われる8体ある仏像の中の1つです。
『八部衆』の他の仏像も少年の美しい顔をしているものもありますが、中にはオジサンとイカツイ人、あとカラスみたいなのもいます笑
そういったところも含め、ぜひじっくり見てみてください。
これリアルすぎ!『木造金剛力士像』
3つ目におすすめするのが『木造金剛力士像』です。
「金剛力士像」といったら東大寺南大門が有名ですが、国宝館の金剛力士像も負けてはいませんよ!
金剛力士像特有の筋肉美、威圧するような睨み、骨や血管の浮き、そして衣が風でなびいた様など写実的に表現されています。
また、こちらの金剛力士像は高さ150cmほどと、東大寺のものに比べ人の身長に近くなっているので、より人間味があります。目線も近いので、今にもこちらに向かってくるのではないかとさえ思えます。
東大寺の金剛力士像と同様、口を開けた阿形(あぎょう)と、口を結んだ吽形(うんぎょう)の2体があなたの訪問を迎えてくれるでしょう。
金剛力士像に挟まれた「天燈鬼(てんとうき)立像」「龍燈鬼(りゅうとうき)立像」もおすすめです
文豪も魅せられた『須菩提像』
リアルというと「須菩提(すぼだい)像」もおすすめです。少年の顔立ちで優しく柔和、阿修羅像に劣らず美男子の仏像です。
その美しさから須菩提像は文学でも取り上げられることがあり、川端康成や高村光太郎などの文豪を魅了したと言われる像です。
須菩提像のどこが文豪たちを魅了させたのかじっくり観察してみてください。
ちなみに、須菩提像は「十大弟子立像」の中の一つで、須菩提像を含め現存しているのは「舎利弗(しゃりほつ)像」、「目犍連(もくけんれん)像」、「迦旃延(かせんえん)像」、「羅睺羅(らごら)像」、「富楼那(ふるな)像」の計6体です。
他の5体も非常にリアルで、おでこのシワやほうれい線、衣のシワなど細かく表現されています。
金剛力士像のような力強さみたいなものはありませんが、それでも今にも動き出しそうな雰囲気があります。
「富楼那(ふるな)像」みたいな人、近所にいそうです笑
超人的職人技『銅造華原馨』
国宝館では仏像が多い中、一際目を引く宝物があります。それが『銅造華原馨(どうぞうかげんけい)』です。
「馨」は玉または石で造った楽器のことで、『銅造華原馨』は儀式用の楽器とされています。中国・唐の高宗から興福寺に贈られたと言われており、元は金鼓(こんく)と呼ばれていたそうです。
雌と雄の龍が銅羅(金鼓)を覆うように囲み、尾を絡ませています。
龍の髭、鱗(うろこ)、背ビレ、尻尾が細かく表現されており、まさに人間業を超えた精緻な作品になっています。
思わず「良い仕事してますねぇ〜」と声が出てしまうくらいの精巧さです。でも館内はお静かに笑
国宝館へのアクセスと拝観情報
興福寺国宝館へのアクセスと、拝観時間や拝観料などについては下記をご覧ください。
最寄駅から徒歩で行く場合
興福寺の最寄り駅は近鉄奈良駅になります。
近鉄奈良駅の東改札口から外に出て、そのまま東の方向へ進みます。
興福寺の世界遺産碑のところまで来たら右へ曲がります。
そのまま直進すると国宝館へ到着します。
奈良駅からバスで行く場合
JR奈良駅、近鉄奈良駅から出ている奈良交通バスをご利用される場合は、バス停「県庁前」が近いです。
バス停から南へ約3分歩くと国宝館へ着きます。
バスの乗車時間はJR奈良駅からですと約6分、近鉄奈良駅からですと約1分になります。
⇒JR奈良駅から「県庁前」への時刻表
⇒近鉄奈良駅から「県庁前」への時刻表
拝観時間 | 9時~17時 ※最終受付16時45分まで |
拝観料 | 大人:700円 中学生・高校生:600円 小学生:300円 冊子(任意):100円 ※団体割引あり (30名以上) ※身障者割引あり |
所在地 | 奈良市登大路町48番地 |
TEL | 0742-22-5370 |
ホームページ | https://www.kohfukuji.com/ |
その他 | 有料駐車場有 (乗用車46台) |
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興福寺の国宝館では素晴らしい仏像や宝物が見られますが、個人的には東大寺の戒壇堂にある四天王像もおすすめです。
よつぐ
奈良県在住(出身は大阪)。ひょんなことから奈良に引っ越すことになり、たまたま行った長谷寺をきっかけにお寺好きになりました。奈良県出身者ではないからこその視点で、奈良の古寺の良さや奥深さをお伝えできればと思っています。