奈良古寺【當麻寺】 

當麻寺についてAbout Taimadera

當麻寺(たいまでら)は生きたまま極楽浄土へ行かれたという中将姫ゆかりのお寺です。

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まずは當麻寺の歴史について簡単に見ていきますね

真言宗と浄土宗を奉じる、全国でも珍しい二宗並立の古寺。山号は「二上山」。

用明天皇の皇子・麻呂子(まろこ)親王が建てた万宝蔵院が始まりといわれています(ちなみに麻呂子親王は聖徳太子の異母弟)。その後、麻呂子親王の孫・當麻国見(たいまのくにみ)が現在の地に移し、當麻氏の氏寺として整備されました。

治承4年(1180年)の平家による南都焼き討ちの際、当時當麻寺は興福寺の末寺であったことから同じく焼き打ちに遭いました。その後、鎌倉時代に復興され、現在に至っています。

藤原豊成(藤原鎌足のひ孫)の娘・中将姫が當麻寺に入り尼となり、一夜にして蓮の糸で織ったという『當麻曼荼羅』でも有名です。『當麻曼荼羅』は當麻寺の御本尊になっています。

當麻寺の見どころ5選Highlights

當麻寺の見どころを5つ厳選してご紹介いたします。

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ぜひここに注目しながら拝観してみてください

當麻曼荼羅と中将姫坐像

やはり當麻寺と言ったらやはり御本尊の「當麻曼荼羅」は見ないといけません。

本堂(曼荼羅堂)に掲げられているものは模写されたもので、原本の曼荼羅は別のところで保存されていると言いますが、縦横約4mの曼荼羅は迫力があり圧巻です。

また、本堂ではこの當麻曼荼羅を織ったとされる尼さんスタイルの中将姫像も見ることができます。色が白く、目は切れ長。また、こういった像では珍しく歯を見せていて、微笑んでいるように見えます。

なんとなく女優の田中麗奈さんに似ているような似てないような…ぜひ実際にご覧いただき判断してください!

現存する最古のウイング・東塔西塔

當麻寺には東西に塔(三重塔)がある、いわゆる「双塔式伽藍」になっています。東塔は奈良時代、西塔は奈良時代〜平安初期に建立されたと言われていて、古代に建立された塔が両方現存するのは當麻寺だけだそうです。

同じく双頭式伽藍の薬師寺の三重塔に比べると10mほど低いですが、間近で見るとかなりのインパクトを感じます。

ただ、両塔は少し距離があり、またそれぞれ木々に覆われているということもあり、両塔一緒に見られるところが限られているのが少し残念。

両塔一緒に見られる場所は、講堂の石段を上がったところ、「西南院」のみはらし台、「奥院」くらいだと思います。ちなみにこの写真は、西南院のみはらし台から見た東塔(奥)と西塔(手前)になります。

難を逃れた金堂の弥勒仏坐像

本堂の前方には金堂があり、拝観受付の方によると元々はこの金堂が本堂だったようです。

御本尊は弥勒菩薩様で、坐像ながら2mを超えており、ふくよかな体形をしてらっしゃいますので存在感が強いです。

こちらの弥勒菩薩様は、治承4年(1180年)の兵火により全焼は免れたものの損傷はしてしまったそうで、兵火によるものか、お顔がややゴツゴツとして火傷の痕のように見えて痛々しく感じました。

ちなみに、金堂には飛鳥時代の四天王像があります(多聞天のみ鎌倉時代)。大抵の四天王像は体勢に躍動感があるのが特徴ですが、こちらは国内でも貴重な直立不動の四天王像が見られます。
※法隆寺金堂の四天王像も同じ直立不動です

大和三名園のひとつ・香藕園

境内の「中の坊」には、国指定の回遊式庭園「香藕園(こうぐうえん)」というお庭があります。香藕園は後西天皇の行幸の際に整備され、大和三名園のひとつと言われています。
※写真は香藕園から見た東塔

ちなみに、「藕」は蓮という意味があり、香藕園は「蓮が香る園」という意味になります。写真でもわかるように園内には蓮池があります。

また、香藕園では毎年春に「春のぼたんまつり」が開催され、牡丹や芍薬なども楽しむことができます。

その他、園内には霊宝殿という貴重な宝物を展示しているところがあり、日本最古のかみそりと言われる「中将姫剃髪剃刀」などが展示されています。

これぞ極楽浄土?・奥院

本堂の脇を突き進んでいくと「奥院」というところがあります。こちらは京都の知恩院の奥院として建立されたようです。

お堂の他、自然豊かな庭園があり、バックには二上山がそびえます。

この庭園は「浄土庭園」という名前が付いていることからも分かると通り、まさにこの世で極楽浄土を体感(?)できます。

また、奥院の中には宝物館があり、現代版當麻曼荼羅や二十五菩薩来迎像などを見ることができます。

宝物館はイベント期間以外は閉められているので、受付で拝観希望を伝えると鍵を開けてくれます。

ちょっと一服いかがですか?

當麻寺では西南院と中の坊でお抹茶をいただけます(ただし別途料金必要)。ゆっくり一服したい時におすすめです。

ちなみに写真は中の坊でお抹茶をいただいた時のもので、和室でお庭を見ながらいただくお抹茶は格別でした笑

その他、中の坊では写経や写仏体験もできるようになっています。写経や写仏体験できるお部屋はこの和室とは別で、150枚の天井絵があるお座敷だそうです。

中の坊の霊宝殿では、ロケで来られたのか、笑い飯の哲夫さん・松下奈緒さん・相武紗季さんの写仏が飾られていました。

仕事や勉強のことは忘れて、當麻寺で精神のデトックスをされてみてはいかがでしょうか?

ぐるっと當麻寺Around Taimadera

當麻寺の境内には他にも注目してほしいスポットや展示物があります。
ここでは厳選してご紹介します。

よつぐ
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境内をゆっくり一回りした場合の所要時間は1時間くらいです
(お抹茶や写経・写仏の時間は除く)

日本最古の梵鐘

仁王門を入ってすぐに見えるのがこの鐘楼です。こちらの鐘楼にかかげられている梵鐘は飛鳥時代に造られたもので、日本最古のものと言われています。

日本最古の石灯籠

金堂の正面(南側)に木の枠で囲われた石灯籠があります。こちらは奈良時代に造られたもので、日本最古の石灯籠と言われています。

中の坊

元は別当(住職)がお住まいになっていたところだそうです。香藕園はこちらの中にあります。「春のぼたんまつり」では牡丹や芍薬など楽しむことができます。

中将姫剃髪堂

中の坊内にあります。中将姫が授戒の際、剃髪したお堂と言われています。現在のお堂は桃山時代に再建されました。御本尊は「導き観音」と言われ、人生の良い方向に導いてくれるそうです。

髪塚

おそらく日本でも珍しい髪の毛を供養する塚です。こちらも中の坊内にあります。毎年6/16に供養会が行われます。近くには「茶筅(ちゃせん)塚」というのもあります。

水琴窟

こちらは西南院にある水琴窟です。確かに奥の方でカンカンやコンコンという音が聞こえます。西南院への入場には別途拝観料がかかります。

當麻寺の牡丹

當麻寺は「牡丹の寺」と言われるくらい牡丹の名所でもあります。中の坊・西南院・奥院各所で牡丹が見られます。

なんじゃもんじゃ

西南院に植えられている木で、本当に「なんじゃこれは?」というフワフワした花が咲いています。開花は毎年5月上旬だそうです。

御朱印

當麻寺の御朱印です。中将姫が蓮の糸で曼荼羅を織ったという逸話にちなんで「蓮糸大曼荼羅」と書いていただけます。

アクセスと拝観情報Access & Information

當麻寺の最寄り駅は近鉄南大阪線の「当麻寺」駅で、近くにバス停はないことから徒歩で行くのが基本です。

当麻寺駅の改札を出て、そのまままっすぐ進みますと交差点の角に「中将堂本舗(和菓子屋)」さんがあります。

その交差点を右へ曲がり、そのまま直進すると當麻寺の仁王門に到着します。

駅から當麻寺まで徒歩15分ほどですが、二上山を見ながら歩いているとすぐに感じました。

拝観時間9:00~17:00
拝観料【伽藍三堂(曼荼羅堂/金堂/講堂)・中の坊・西南院・奥院それぞれで】
大人:500円
小学生:250円
※お抹茶・写経/写仏体験の場合別途必要

※時期により変更の場合あり
※団体割引あり (30名以上)
所在地奈良県葛城市當麻1263
TEL0745-48-2001
ホームページ【中の坊】
https://www.taimadera.org/
【西南院】
https://taimadera-sainain.or.jp/
【奥院】
https://www.taimadera.or.jp/
その他民間駐車場有
JAFクーポン有(条件あり)

ちょっとそこまでNeighborhood

當麻寺の周辺にある観光スポットやおすすめのスポットをご紹介します。

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お時間があればぜひ一緒に行ってみてください

二上山

奈良県と大阪府にまたがる山。當麻寺は二上山の麓にあります。雄岳と雌岳の二こぶあるのが特徴です。登山道が整備されていて、登山初心者に人気があるそうです。天武天皇の子・大津皇子が眠っているとされています。

中将姫の墓塔

中将姫のお墓と伝わっています。當麻寺北側の共同墓地の中にあります。三重石塔は平安時代後期、十三重石塔は鎌倉末期に建立されたとみられています。

當麻蹴速塚

當麻寺の仁王門からそのまま一直線で東に8分ほど歩いたところにあります。怪力の持ち主という當麻地域出身の當麻蹴速(たいまのけはや)の塚です。當麻蹴速と野見宿禰(のみのすくね)とのガチンコの闘いが相撲の起源とされています。

相撲館けはや座

當麻蹴速にあやかって、當麻蹴速塚と同じところに相撲の資料館があります。館内には本場所と同サイズの土俵があり、実際に上がることができるそうです。また、てっぽうの体験もできるそうです。

當麻寺周辺地図