奈良古寺【岡寺】 

岡寺についてAbout Okadera

岡寺は山の中腹にある自然豊かなところで、ペット同伴での入山も可能な珍しい古寺です。
※ただし、ペットが堂内に入ることは不可

よつぐ
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まずは岡寺の歴史について簡単に見ていきますね

真言宗豊山派。正式名称は「東光山 真珠院 龍蓋寺(りゅうがいじ)」。

天武天皇2年(663年)、天武天皇の子・草壁皇子の住まいであった岡の宮が義淵(ぎえん)僧正に下賜され、そこに寺を創建したのが始まりとされています。
※創建時の伽藍は岡寺の西にある、現在の「治田神社」の境内あたりだと考えられています。

ちなみに、東大寺初代別当である良弁(ろうべん)や、大仏造立に尽力した行基は義淵僧正の門下だったと言われています。

義淵僧正が法相宗の僧であったことから長らく興福寺(法相宗大本山)の末寺となっていましたが、江戸時代に長谷寺住職であった法住(ほうじゅう)が入山して以降は、長谷寺の末寺として現在に至っています。

岡寺の見どころ5選Highlights

岡寺の見どころを5つ厳選してご紹介いたします。

よつぐ
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ぜひここに注目しながら拝観してみてください

日本最大&最古の『塑像・如意輪観音像』

岡寺の一番の見どころと言うと、やはり本堂にいらっしゃる御本尊『如意輪観音像』様です。

こちらの如意輪観音像は、塑像(土でできた仏像)としては日本最大(高さ4.85m)にして最古のもので、弘法大師がインド・中国・日本の土を使って造られたと言われています。

一般的に「如意輪観音」というと左右に三本ずつ手があり、片膝を立てているのが特徴ですが、こちらは手は左右一本ずつになっていて、結跏趺坐(けっさふざ)をされているという貴重なお姿です。

「やくよけの観音様」として長く信仰を集めているので、ぜひこの御本尊様に厄除け祈願をされてください!

岡寺オリジン・龍蓋池

岡寺の正式名称は「龍蓋寺(りゅうがいじ)」ですが、その名前の由来となったのが境内にある龍蓋池(りゅうがいいけ)です。この「龍蓋池」という名前の由来も次のように実に興味深いです。

この寺の近くに農地を荒らす悪龍がおり、義淵僧正が法力によってその悪龍を小池に封じ込め、大石で蓋(ふた)をしました。「龍に蓋をした池」というところから龍蓋池と呼ばれるようになったそうです。

つまり、この龍蓋池から岡寺の歴史が始まったので、岡寺オリジン(元祖岡寺)と言えます。

ちなみに、蓋をされた龍は改心し、善龍となって今なおこの池に眠っているとか。池の中にはその蓋と思われる石があり(でも思ったほど大きくない…)、その石に触ると雨が降るという言い伝えもあるそうです。

日本最初の厄除け霊場

岡寺厄除け祈願

岡寺は「日本最初の厄除け霊場」といわれ、奈良県内有数の厄除け祈願のお寺として知られています。特に奈良県在住の女性は岡寺で厄除け祈願をされている方が多いとか。

厄除け祈願は毎日9時から16時半まで行われており、毎時0分と30分に厄除け法要が執り行われます。厄除け祈願の希望者がいらっしゃれば、一般の方でも本堂の外から厄除け法要の様子を見ることができます。

厄除け以外にも、家内安全・交通安全・病気平癒・安産祈願・商売繁盛・学業成就などなど、祈願内容を自由に選択できますので、御本尊様のパワーをいただきたい方はぜひ!

折角なので私もこちらで祈願していただきました笑

空気が一味違う奥之院

本堂の前をそのまま進み石段を上っていくと、「奥之院」と呼ばれるところに入ります。木々に囲まれ、辺り一面苔むした様は俗世から切り離された別世界のようで、なんとなく空気の違いを感じます。

こちらには稲荷社や石窟があるのですが、個人的に目を引いたのが「瑠璃井(るりい)」と呼ばれる井戸です(写真)。今でも水が湧き出ているようで、参拝客が自由に水を汲めるようになっています。

この井戸水は弘法大師ゆかりの霊水として厄除けのご利益があるとされ、昔は飲み水としても珍重されていたそうですが、現在は飲めないようです。

ですので、玄関先や車などに撒いて厄除けの用の水として利用されてみてはいかがでしょうか?

期間限定!「華の池」

岡寺といったらゴールデンウィーク期間中のみ見られる「華の池」。写真のように池いっぱいに天竺牡丹(ダリア)が浮かべられ、SNS映え間違いなしです!

多くの方がゴールデンウィークのお休み期間中ということもあり、朝(拝観受付時刻の前)からカメラやスマホを抱える人でいっぱいです。
※ただし、譲り合いの精神をお忘れなく。仏様も見ておられます笑

また、岡寺ではこの池以外のところでも天竺牡丹が見られますし、天竺牡丹以外にも石楠花(しゃくなげ)や牡丹、躑躅(つつじ)が境内各所で一緒に見られます。

目の保養に「花の寺」を満喫してください!
「華の池」についてはこちらのページでも紹介しています

ぐるっと岡寺Around Okadera

岡寺の境内には他にも注目してほしいスポットや展示物があります。
ここでは厳選してご紹介します。

よつぐ
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境内をゆっくり一回りした場合の所要時間は40分くらいです

本堂

文化2年(1805年)に再建されたもので、完成までに30年以上かかったそうです。こちらでは毎日『やくよけ法要』が行われています。

仁王門

慶長17年(1612年)に建立されたもので、重要文化財に指定されています。一部三重塔の古材が転用されていたそうです。

楼門

本堂への石段を上がっていくと左手にあります。元は鐘が吊られた鐘楼門だったそうで、慶長年間(1596~1615年)に建立されたそうです。

開山堂

本堂の左側にあるお堂で、納骨堂になっています。元は多武峰妙楽寺(現、談山神社)にあった護摩堂がこちらへ移築されたと言われています。

鐘楼堂

開山堂の前にある鐘楼です。厄除けの鐘として誰でも打つことができます。ぜひ鐘の音で厄を追い払ってください笑

十三重石塔

龍蓋池の裏にある、少し小高いところに建てられています。建立は大正15年(1926年)だそうです。

三重宝塔

元は旧境内にあり、文明4年(1472年)に転倒した以後は再建されずそのままになっていましたが、514年経った昭和61年(1986年)に再建されました。

三重宝塔前からの眺め

三重宝塔前から見える景色です。明日香村や甘樫丘などを望むことができます。岡寺は山の中腹にあることから見晴らしも良いです。

大師堂

昭和の初めに建立されたもので、御本尊は弘法大師です。四国八十八か所のお砂踏みもできるようになっています。

稲荷社

奥之院に入って突き当たりのところにある神社で、岡寺の鎮守社になっています。「如意稲荷社」とも呼ばれています。

奥之院石窟

稲荷社のすぐ隣にある石の洞窟で、奥に弥勒菩薩像が祀られています。「弥勒の窟」とも呼ばれているそうです。入口がかなり低いので頭上に注意です。

義淵僧正廟所

岡寺を創建したと言われる義淵僧正を祀っているところで、塔が建っています。塔の銘文によると、塔は延文5年(1360年)に建立されたそうです。

岡寺の石楠花

岡寺は石楠花(しゃくなげ)の名所として知られており、境内には約3,000株が植えられているそうです。毎年4月中旬から5月上旬が見ごろです。

岡寺の紅葉

岡寺は紅葉の名所としても知られています。本堂の奥や三重宝塔の周辺、奥之院から三重宝塔にかけて紅葉のトンネルが見られます。

御朱印(切絵)

ゴールデンウィーク期間中の「華の池」にちなんだ切り絵の御朱印です。華の池と同様、色味が爽やかで見とれてしまいます。

アクセスと拝観情報Access & Information

岡寺へは最寄りのバス停から歩いていくのがおすすめです
※道幅が狭いため、車で行かれる方は十分ご注意ください

バス停「岡寺前」のすぐ前にある鳥居を通り抜け、そのまま道なりに10分ほど歩くと岡寺の仁王門へ着きます。

最初は緩やかな坂道ですが、岡寺に近づくにつれて急な坂道になるので、ご年配の方は大変に感じられるかもしれません。

バスは近鉄「橿原神宮前」駅と「飛鳥」駅から出ています。

乗車時間は橿原神宮前からですと約24分、飛鳥駅からですと約19分です。
橿原神宮前駅から「岡寺前」への時刻表
飛鳥駅から「岡寺前」への時刻表

拝観時間8:30~17:00
拝観料
(通常期)
大人:400円
高校生:300円
中学生:200円
小学生以下無料

※団体割引(50名以上)あり
所在地奈良県高市郡明日香村岡806
TEL0744-54-2007
ホームページhttps://www.okadera3307.com/
その他無料駐車場有
近隣に民営駐車場有
JAFクーポン有

ちょっとそこまでNeighborhood

岡寺の周辺にある観光スポットやおすすめのスポットをご紹介します。

よつぐ
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お時間があればぜひ一緒に行ってみてください

岡本寺本堂

岡寺と同じ真言宗豊山派のお寺です。御本尊は「如意輪観世音菩薩」で、「子安観音」として安産、求子、良縁等にご利益があるとされています。「岡寺前」バス停から岡寺に行くまでの途中にあります。

犬養万葉記念館

『万葉集』研究の第一人者で、明日香村の名誉村民だった犬養孝先生の記念館です。犬養先生ゆかりのものや万葉集に関する図書などが所蔵されています。「岡寺前」バス停のすぐ近くにあり、入館は無料です。

石舞台古墳

蘇我馬子の墓と言われ、天井石が舞台のように平たいので石舞台古墳と呼ばれています。30数個の巨岩を積み上げて造られており、総重量は約2300トンあるそうです。岡寺からは南の方向へ徒歩17分ほどのところにあります。

飛鳥寺

蘇我馬子の発願により建立された古寺で、日本最初の本格的寺院です。こちらでは日本最古の大仏『飛鳥大仏』を見ることができます。岡寺から北西の方向へ徒歩21分ほどで行けます。「岡寺前」バス停からバスでも行けます。
飛鳥寺についてはこちらをご覧ください

岡寺周辺地図