奈良古寺【法華寺】
法華寺についてAbout Hokkeji
法華寺は住宅街の一角に佇む静かなお寺で、境内にはお庭がありお花も楽しめるお寺です。
まずは法華寺の歴史について簡単に見ていきますね
光明宗。光明皇后(聖武天皇皇后)により創建。元は「総国分尼寺・法華滅罪之寺」と呼ばれていた。
天平13年(741年)、聖武天皇が仏教による国家鎮護のため「国分寺・国分尼寺建立の詔」を出され、国分尼寺の根本道場として法華寺が建立されました。
※ちなみに、国分寺の根本道場は「金光明四天王護国之寺」で、東大寺になります。
その後、平安京遷都や平家による南都焼き打ちの被害などで衰退していきますが、豊臣秀頼公と母・淀殿の寄進により伽藍が再建され、ほぼ現在の寺観になりました。
江戸時代に入ると後水尾天皇の皇女が入寺され、門跡寺院(皇族や公家が住職を務めるお寺)となりました。
法華寺の見どころ5選Highlights
法華寺の見どころを5つ厳選してご紹介いたします。
ぜひここに注目しながら拝観してみてください
秘仏!『十一面観音菩薩立像』
法華寺の見どころと言うと、やはり本堂にいらっしゃる御本尊『十一面観音菩薩立像』様です。高さはそんなに大きくなく、程よく肉感的で右腕が異常に長いのが特徴です。
また仏像には珍しく、ロングヘアの巻き髪スタイリングというお姿。絶世の美女と言われた創建者の光明皇后のお姿を写したものというから納得!でもヒゲ生えてるんですけど…?
残念ながら御本尊は春と秋の年2回しか公開されていません。しかしご安心を。本堂には御分身像が置かれているので、ほぼ同じものをご覧いただけます。
本堂内には椅子が置かれていますので、ゆっくり休みながらご覧ください。
今も昔も”ととのう”人々
拝観受付からそのまま進むと、「浴室」と書かれた扁額が掲げられた建物があります。
「浴室」はそのまま「よくしつ」と読むのではなく「からふろ」だそうで、今で言うサウナだったようです。現代人と同様、この浴室(からふろ)を利用していた人も”ととのって”いたのでしょうか笑
この浴室(からふろ)は、光明皇后が「我自ら千人の垢を去らん」という願いから庶民のために作られ、福祉施設としての役割がありました。
※実際に千人の垢を流したという伝説も…
現在の建物は明和3年(1766年)に再建されたもので、昭和初期までは夏と冬に実際に使われていたそうです。
悲しき情景・横笛堂
平家物語に「横笛」というお話があります。平重盛の家臣・斎藤時頼と、横笛という女性の叶わぬ恋のお話です。
時頼と横笛は相思相愛でしたが、横笛の身分が低かったこと理由に時頼は父に反対されます。そして、横笛への未練を断ち切るため時頼は出家し、後を追うように横笛も出家しました。
この横笛が出家したのが法華寺だったそうで、確かに平家物語には「横笛は(中略)奈良の法花寺(ほつけじ)にありけるが…」と書かれています。横笛堂は法華寺境内で最も古く、実際に横笛はこのお堂にいらっしゃったとも言われていますので、横笛の悲しみがこのお堂から伝わってくるようです…
ちなみに、本堂には横笛自身の手紙で作られたといわれる横笛の像が置かれています。少しうなだれている様がより一層悲しみを感じさせます。
猫も休まる光月亭
法華寺には「光月亭」という、それは見事な茅葺き屋根の日本家屋があり、その縁側で休むことができます。ここでは無料のドリンクサーバー(ほうじ茶とレモン水と水/湯)も用意されていてホスピタリティは最高です。
折角だから一休みしようと思ったら、ご覧の通り縁側にはすでに先客(猫)がいました笑
法華寺の猫なのか、たまたまの野良猫なのかわかりませんが、近づいても逃げる気配はありません。なので、ほうじ茶を飲みながら猫としばらく休むことにしました。
天気も良かったですし静かなので、じっくり休むことができました。
季節を楽しめる華楽園
法華寺境内には「華楽園(からくえん)」というお庭があります。椿や梅、蓮、紫陽花、桔梗、スズラン、チューリップなどなど、和洋取り混ぜた季節のお花を楽しむことができます。中でも蓮は「法華寺蓮」と言われるほど有名です。
庭園内では長椅子が置かれているので、お花を見ながらじっくり一休みできるようになっています。
※華楽園のみの入場もできます(300円)
ちなみに法華寺にはもう1つ、京都仙洞御所の庭園から石や庭木などが移されたという「国史跡名勝庭園」というお庭もあります。
ただ、名勝庭園は期間限定(毎年4/1~6/10)になりますので、両方のお庭を楽しみたい場合は注意してください。
ぐるっと法華寺Around Hokkeji
法華寺の境内には他にも注目してほしいスポットや展示物があります。
ここでは厳選してご紹介します。
境内をゆっくり一回りした場合の所要時間は30分くらいです
本堂
法華寺の本堂は、慶長6年(1601年)に豊臣秀頼公の母・淀殿の寄進により再建されました。重要文化財に指定されています。
南大門
南大門は、慶長6年(1601年)に豊臣秀頼公と淀殿により再建されたもので、重要文化財に指定されています。こちらから入ることはできません。
鐘楼
拝観受付を済ませるとすぐに見えてくる大きな鐘楼です。こちらの鐘楼は、慶長7年(1602年)に豊臣秀頼公と淀殿によって再建されたものです。
護摩堂
法華寺の護摩堂は室町時代に倒壊して以来そのままとなっていましたが、平成16年(2004年)に再建されました。毎月28日には護摩法要が営まれているそうです。
慈光殿
特別拝観時のみ入ることができます。法華寺境内での出土品や五重小塔などみることができます。私が行ったときは、昭和天皇が皇太子時代に実際に使用されたという椅子とテーブルが置かれていました。
光月亭外観
見どころでご紹介した「光月亭」の外観です。18世紀中ごろの建物と言われ、元は奈良県月ヶ瀬村(現・奈良市)にあった「旧東谷家住宅」を移築したものです。縁側でゆっくり休むことができます。
国史跡名勝庭園
本堂の北西にある500坪の回遊式庭園です。毎年4/1~6/10までしか公開されていませんので貴重です。5月には杜若(かきつばた)が見ごろを迎えます。
法華寺の杜若
法華寺は杜若(かきつばた)の名所と言われています。名勝庭園の中と護摩堂の前に咲いています。紫色が色鮮やかで心が和みます。
アクセスと拝観情報Access & Information
法華寺へは最寄駅から徒歩で行くか、最寄りのバス停まで奈良交通バスを利用して行く方法があります。
最寄駅から徒歩で行く場合
法華寺の電車の最寄り駅は近鉄「新大宮」駅です。
新大宮駅から北西(平常宮跡)の方向に向かって行くと法華寺に到着します。
新大宮駅から徒歩だと約20分ほどになります。
奈良駅からバスで行く場合
法華寺の最寄りのバス亭は「法華寺」で、JR/近鉄奈良駅、近鉄大和西大寺駅から奈良交通バスが出ています。
「法華寺北町」や「北法華寺町」という似た名前のバス停が近くにあるので注意してください
バス停「法華寺」から南に向かって(地図の下方向)へ進み、「法華寺」の交差点を右へ曲がります。そしてそのまま突き当りまで直進し、右へ曲がると法華寺の山門(赤門)に到着します。
バスの乗車時間はJR奈良駅から約16分、近鉄奈良駅から約9分、大和西大寺から約10分になります。
⇒JR奈良駅から「法華寺」への時刻表
⇒近鉄奈良駅から「法華寺」への時刻表
⇒大和西大寺駅から「法華寺」への時刻表
拝観時間 | 9:00~16:30 |
拝観料 | 大人:700円 小・中学生:350円 華楽園のみ:300円 ※特別公開時別料金 ※団体割引あり (20名以上) ※身障者割引あり |
所在地 | 奈良市法華寺町882 |
TEL | 0742-33-2261 |
ホームページ | https://hokkejimonzeki.or.jp/ |
その他 | 無料駐車場有 JAFクーポン有 ※ただし特別公開時は利用不可 |
ちょっとそこまでNeighborhood
法華寺の周辺にある観光スポットやおすすめのスポットをご紹介します。
お時間があればぜひ一緒に行ってみてください
海龍王寺
法華寺の北東にあり、徒歩5分ほどで行けます(「法華寺」のバス停の近く)。「般若心経」写経発祥のお寺で、旅行や留学祈願をされています。
平城宮跡歴史公園
世界遺産。平城京の大内裏があったところです。法華寺から南西へ10分ほど歩くと、平城宮跡の「東院庭園」に着きます。大極殿まではそこからさらに10分ほど歩きます。
法華寺周辺地図
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法華寺と同様、光明皇后が創建したお寺で、法華寺の近くにあるので一緒に行くことをおすすめします。
こちらも光明皇后が創建したお寺です。御本尊の薬師如来と、有名な十二神将が見られます。
光明皇后の夫・聖武天皇が創建した寺です。有名な大仏のほか、二月堂など見どころが多数あります。
光明皇后の娘・称徳天皇が創建したお寺です。大阪や京都にも繋がる大和西大寺駅から近いので、遠方の方でも行きやすいです。