奈良古寺【元興寺】 

元興寺についてAbout Gangoji

元興寺は「ならまち(奈良町)」の一角にたたずむ、歴史ある静かなお寺です。

よつぐ
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まずは元興寺の歴史について簡単に見ていきますね

真言律宗。南都七大寺の一つ。世界遺産。

蘇我馬子が建立した日本最古のお寺といわれる法興寺(飛鳥寺)が、平城遷都に伴い養老2年(718年)に平城京内に移転したのが始まり。その時に「元興寺」と名称が改められました。

元々は東大寺に次ぐ大寺院で、今現在の「ならまち」一帯は元興寺の境内だったようですが、次第に衰退していきました。

その後、室町時代の土一揆によりほとんどの建物が焼失し、ついには元興寺は「極楽坊(のち極楽院):真言律宗」「東塔院観音堂(現・元興寺塔跡:華厳宗)」「小塔院:真言律宗」に分裂しました。

明治期の廃仏毀釈を受け、さらに荒廃し、極楽院は一時は住職がいない無住寺院となりました。本格的な修理が行われたのは昭和以降で、昭和53年(1978年)に「元興寺」に改称されました。

元興寺の見どころ5選Highlights

元興寺の見どころを5つ厳選してご紹介いたします。

よつぐ
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ぜひここに注目しながら拝観してみてください

居心地満点の本堂・極楽堂

境内に入ってまず目に飛び込んでくるのが国宝である本堂(極楽堂)。ここは元々は僧坊(僧侶たちの居住空間)だったようです。

本堂へは自由に入ることができるようになっていて、本堂に近づくとお線香の良い香りがほのかにします。

堂内には椅子が置かれているので、堂内を一回りした後、ゆっくり休むこともできます(もちろん飲食はだめです)。

何とも言えない懐かしいお線香の香りの中で、時間を忘れて長居してしまいます。

境内を一回りしてついついもう一度入ってしまいました笑

これが極楽だ!『智光曼荼羅』

大抵のお寺の御本尊は仏像であることが多いですが、元興寺(極楽堂)の御本尊は『智光(ちこう)曼荼羅』という曼荼羅です(具体的に言うと、智光曼荼羅の中に描かれている阿弥陀如来)。

『智光曼荼羅』ができた経緯は次のように興味深いです。

奈良時代の僧・智光法師が元興寺で修行をしていた際、同じく修行僧で学友だった頼光(らいこう)が突然亡くなりました。「頼光は無事に極楽に行けたのだろうか」と案じていたところ、極楽にいる頼光が夢に出てきて、無事に往生したことを悟ります。

この『智光曼荼羅』は、智光法師がその時の夢で見た光景(極楽の様子)を曼荼羅にしたものと言われています。

圧倒される石塔・石仏の数

境内を進むと一際目を引くのが石塔・石仏の数です。全部合わせると約2500基あり、鎌倉時代末から江戸時代中期にかけてのものが多いそうです。

元興寺は中世から「庶民信仰の寺」として知られていたため、このように石塔・石仏が造られた(集まった)と考えられています。元々は境内のあちこちに散らばっていたようですが、次第にまとめられるようになりました。

稲田のように整然と並べられているところから「浮図田(ふとでん)」と呼ばれています。
※「浮図」は仏陀の意味

夏には浮図田に桔梗(ききょう)が咲きます。

飛鳥の息吹を感じる古瓦

本堂の極楽堂と、その隣の禅室では一部赤みや黒みを帯びた瓦が見られます。

この辺りの瓦は、飛鳥の法興寺だった頃から奈良時代にかけてのものが使われていて、日本最古の瓦と言われています。

かれこれ1300年以上経ってもまだ現役というから驚きです!

瓦はコップを半分に割ったような丸い形になっていて、その丸い瓦を重ねるように配置されています。

こういった工法を「行基葺き(ぎょうきぶき)」というそうですが、近鉄奈良駅の噴水前に立つお坊さんの行基とは特に関係はないんだとか。

ちょいちょい出てくる鬼の置物

元興寺は鬼の発祥の地と言われていて、悪い鬼を退治してくれる鬼が元興寺にいたことから、そういった鬼を元興寺(ガゴジ)や元興神(ガゴゼ)と呼んでいたそうです。

そのためか、境内にところどころ鬼の置物が置かれています。全部で5体あるそうです(鬼のポーズにそれぞれ変化があります)。
※私は3体しか探せませんでしたが…

お子さんだとお寺では退屈しがちですが、一緒に探してみると面白いかもしれませんね。

ちなみに元興寺では、節分の時は『福は内、鬼は内』と豆をまくそうです。

ぐるっと元興寺Around Gangoji

元興寺の境内には他にも注目してほしいスポットや展示物があります。
ここでは厳選してご紹介します。

よつぐ
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境内をゆっくり一回りした場合の所要時間は40分くらいです

東門

拝観入口の門です。鎌倉時代に作られたもので、重要文化財です。元は東大寺西南院にあったものを室町時代にこちらに移築したようです。

禅室

極楽堂の裏にある細長い建物で、鎌倉時代に再建・改築されました。部材や屋根瓦の一部に奈良時代のものが残っているようです。通常時は中に入れません。

法輪館

国宝・五重小塔をはじめ、元興寺に伝わる仏像や宝物、歴史的資料が収められている収蔵庫です。2階や3階にも展示室があります。

旧講堂礎石

法輪館の前に大きな石が3つ置かれています。こちらは元興寺の旧講堂の礎石と見られ、発掘調査で発見されたようです。

小子房

元は厨房で、その後は庫裏(くり)として利用されていたようです。中に入ると一服できるようになっています。

影向桜

禅室の南側にある桜で、影向(ようごう)桜と言われています。境内には桜の他、桃なども植えられています。

浮図田の桔梗

浮図田に咲く桔梗です。鮮やかな桔梗の色が映えて、とてもきれいです。1000株近くあるそうで、7月上旬~8月上旬が見ごろです。

かえる石

元は大阪城にあったもので、蛙に似ていることから名づけられました。「福かえる」「無事かえる」という縁起の良い石として毎年供養されているようです。

御朱印

元興寺の御朱印は3種類ありますが、御本尊である「智光曼荼羅」と書いていただきました。御朱印帖は事前に渡しておくとよいです。

アクセスと拝観情報Access & Information

元興寺へは最寄駅から徒歩で行くか、最寄りのバス停まで奈良交通バスを利用して行く方法があります。

JR奈良駅から徒歩で行く場合

色々行き方はありますが、初めていくなら「ならまち大通り」を通るのが一番わかりやすいと思います。

東口出口から300mほど南へ進むと「ならまち大通り」に出ます。その通りを東方向(JR奈良駅とは逆の方向)へ進んでいただくと元興寺(北門)に着きます。

このルートの場合、約23分になります。

近鉄奈良駅から徒歩で行く場合

近鉄奈良駅隣の東向商店街を南へ進んでいただき、突き当たりの中谷堂さんの隣にある商店街(もちいどのセンター街)を南へ進みます。

そうすると「ならまち大通り」に出てきますので、そこから東方向へ行くと元興寺(北門)に着きます。

このルートの場合、約15分になります。

奈良駅からバスで行く場合

JR奈良駅、近鉄奈良駅から出ている奈良交通バスをご利用される場合は、バス停「福智院町」が近いです。

バス停から西の方角へ向かってへ約6分歩くと元興寺に着きます。

バスの乗車時間はJR奈良駅からですと約7分、近鉄奈良駅からですと約4分になります。
JR奈良駅から「福智院町」への時刻表
近鉄奈良駅から「福智院町」への時刻表

拝観時間9:00~17:00
(入門は16:30まで)
拝観料大人:500円
中学生・高校生:300円
小学生:100円
※団体割引あり (20名以上)
※身障者割引あり
所在地奈良市中院町11番地
TEL0742-23-1377
ホームページhttps://gangoji-tera.or.jp/
その他駐車場有 (乗用車10台)
JAFクーポン有

ちょっとそこまでNeighborhood

元興寺の周辺にある観光スポットやおすすめのスポットをご紹介します。

よつぐ
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お時間があればぜひ一緒に行ってみてください

元興寺塔跡

元興寺から南へ歩いて5分ほどのところにあります。元は元興寺の五重塔があったところです。こちらを管理されていた方が県外に引越しされたため今は期間限定でしか入れません。

御霊神社

元興寺塔跡の近くにあります。延暦十九年(800年)に桓武天皇の勅命により創建された神社です。縁結びの御利益があることで知られています。

元興寺小塔院

元興寺から南西へ歩いて6分ほどのところにあります。元は元興寺の小塔院(別名、吉祥堂)があったところで、現在は小さなお堂が建っています。

十輪院

元興寺から南東へ歩いて5分ほどのところにあります。元は元興寺の子院だったそうです。朝の勤行を公開しており、瞑想や読経、境内の清掃の体験ができるそうです。

元興寺周辺地図