奈良古寺【中宮寺】
中宮寺の歴史
About History
中宮寺(聖徳宗)は山号を「法興山(ほうこうざん)」といい、「斑鳩尼寺(いかるがにじ)」とも呼ばれました。

中宮寺はどんな歴史を経たのか、簡単に見ていきましょう!

聖徳太子が母・穴穂部間人(あなほべのはしひと)皇后のために建てた宮を寺に改めたのが始まりと言われています。以後伽藍が整備され、金堂や講堂、三重塔、僧坊などを持つ大寺院となりました。
※創建時は現在より450mほど東にあり、元々建っていた場所は現在「中宮寺跡史跡公園」となっています。
その後衰退したものの、西大寺の叡尊上人や信如比丘尼(しんにょびくに)らによって再興されました。しかし、火災などによる伽藍の焼失で再び衰退し、寺地も法隆寺の塔頭(たっちゅう:子院)に移しました。
室町時代には皇室から尊智(そんち)女王をお迎えし、斑鳩御所として次第に寺観が整えられました。
昭和43年(1968年)には現在の本堂が建てられ、現在に至っています。
中宮寺の見どころ
Highlights
中宮寺の見どころを次の2つ+1に厳選しました。

では、それぞれ詳しく見ていきますね!
麗しの美像
『菩薩半跏像』
中宮寺といったらやはりご本尊の『菩薩半跏像』。飛鳥時代の貴重な仏像です。
※寺伝では「如意輪観音像」とされています
片足をもう片方のももの上にのせ、片手で軽く頬づえをつくお姿…
何か考え事をされているような、物思いに耽っているような感じなので「半跏思惟(はんかしい/はんかしゆい)」像とも言われます。
飛鳥時代の仏像に多い、わずかに笑みを浮かべるアルカイックスマイルがとても印象的で、考えているのにちょっと笑っている…このなんとなくの余裕を感じさせるところがたまらない!
エジプトのスフィンクス、レオナルド・ダ・ヴィンチ作のモナリザと並んで「世界三大微笑像」と呼ばれています。

堂内は撮影禁止で、書籍やパンフレットにも著作権があるため仏像の写真が載せられません
ぜひ現地でご覧ください!
全身が黒くなっていますが、元々は彩色がほどこされ、お香やお燈明などにより黒くなってしまっているようです。
木造でありながら陶器のような光沢…まさに”麗しの美像”ともいうべきものです。

美像を前にきっとうっとりされますよ!
ちなみに「菩薩半跏像」というと、広隆寺(京都)の『弥勒菩薩半跏思惟像』も有名です。
広隆寺の菩薩様は冠を被っておられますが、中宮寺の『菩薩半跏像』はお団子ヘアーになっています。
ぜひ比較して見てみてください!
日本最古の刺繍
『天寿国曼荼羅繍帳』
中宮寺でもう一つ注目すべきものは、日本最古の刺繍と言われる『天寿国曼荼羅繍帳(てんじゅこくまんだらしゅうちょう)』。
こちらは、聖徳太子が亡くなられた後、聖徳太子がいらっしゃるであろう天寿国(極楽)の様子を妃の橘大郎女(たちばなのおおいらつめ)が想像して、その様子を宮中の采女(うねめ:女官)に刺繍させたものと言われています。
しかしこちらの曼荼羅は、長い間所在がわからなくなっていて、中宮寺を再興した信如比丘尼が法隆寺の網封蔵(こうふうぞう)からたまたま発見したと言われています。
ただ、発見した当時にはすでにかなり破損していたため、修復し複製を作りました。
現在堂内で見られる『天寿国曼荼羅繍帳』はそれをさらに複製したものですが、曼荼羅に描かれている人々の服装など、当時(飛鳥時代)の様子を知る点で非常に興味深いものだと言えます。

堂内は畳敷きになっているので、ゆっくり座って『菩薩半跏像』と『天寿国曼荼羅繍帳』をご覧ください!
山吹のお寺
中宮寺では毎年4月から5月あたりになると、本堂の周りを中心に山吹が咲き誇ります。


一重の山吹と八重のモコモコっとした山吹が咲いています。

文字通り、境内は山吹色に染まります笑
ちなみに、この季節限定の山吹をあしらった御朱印もあります。

この他にも中宮寺の売店では山吹のお守りも売られています。
見られる季節が限定されますが、季節があいましたらぜひ!

例年4月中旬あたりが見頃です
ぐるっと中宮寺
Around Chuguji
中宮寺は大きなお寺ではないため、境内に特に目立ったスポットや展示物はありません。
ここでは主なものを取り上げます。

境内をゆっくり一回りした場合の所要時間は20分くらいです
本堂

現在の本堂は、高松宮妃殿下の御発願により昭和43年に建立されました。堂内は甘い香りがし、観光客用に音声ガイダンスを流してくれます。
会津八一歌碑

早稲田大学名誉教授で歌人の会津八一の歌碑で、菩薩半跏像を詠んだ歌です。『みほとけの あごとひぢとにあまでらの あさのひかりの ともしきろかも』
御朱印

中宮寺の御朱印です。「如意輪観音」と書いていただけます。御朱印は拝観受付のところで事前にお伝えしておくと良いです。
アクセスと拝観情報
Access & Information
中宮寺へは最寄駅から徒歩で行くか、最寄りのバス停まで奈良交通バスを利用して行く方法があります。

中宮寺は法隆寺の東院伽藍近くにある門からしか入れないため、
法隆寺の東院伽藍(中宮寺の西側)から行くようにしてください
最寄駅から徒歩で行く場合
中宮寺の最寄駅はJR大和路線「法隆寺」駅です。
法隆寺駅北口から北の方向へ進んでいき、法隆寺の東院伽藍を目指して進みます。
徒歩だと約22分かかります。
各駅からバスで行く場合
中宮寺の最寄りのバス停は「中宮寺前」です。
JR法隆寺駅をはじめ、JR王寺(近鉄新王寺)駅、近鉄郡山駅、JR/近鉄奈良駅から奈良交通バスが出ています。
⇒JR法隆寺駅から「中宮寺前」への時刻表
⇒JR王寺/近鉄新王寺駅から「中宮寺前」への時刻表
⇒近鉄郡山駅から「中宮寺前」への時刻表
⇒JR奈良駅から「中宮寺前」への時刻表
⇒近鉄奈良駅から「中宮寺前」への時刻表
JR法隆寺駅とJR王寺(近鉄新王寺)駅ではコミュニティバスも出ています
※降りるバス停は「中宮寺」
拝観時間 | 9:00~16:30 (3/21〜9/30) 9:00~16:00 (10/1〜3/20) ※受付は閉門15分前まで |
拝観料 | 大人(中学生以上):600円 小学生:300円 ※団体割引あり (30名以上) |
所在地 | 奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺北1-1-2 |
TEL | 0745-75-2106 |
ホームページ | https://www.chuguji.jp/ |
その他 | 近隣に民間有料駐車場有 JAFクーポン利用可 |
ちょっとそこまで
Neighborhood
中宮寺の周辺にある観光スポットやおすすめのスポットをご紹介します。

お時間があればぜひ一緒に行ってみてください
法隆寺

中宮寺と同じく聖徳太子が創建されたお寺です。世界最古の木造建築や、初期の仏像が見られます。中宮寺は法隆寺東院伽藍にある夢殿のすぐ近くなので、夢殿の拝観の流れですぐに行けます。
⇒法隆寺についてはこちらをご覧ください
史跡中宮寺跡

中宮寺が元々あった場所で、現在の中宮寺から東へ450mほどのところにあります。ほとんど野原の状態ですが、塔や金堂の基壇が残っています。法隆寺・法起寺・法輪寺の三塔(斑鳩三塔)が見えるベストスポットです。
法輪寺

法輪寺は中宮寺の北に位置する古寺です。聖徳太子の子・山背大兄王が創建したといわれています。こちらでは「薬師如来坐像」「虚空蔵菩薩立像」「十一面観音菩薩立像」などを拝観することができます。
⇒法輪寺についてはこちらをご覧ください
法起寺

法起寺は中宮寺の北東に位置する古寺で、聖徳太子の子・山背大兄王が岡本宮を寺に改めたのが始まりと言われています。現存最古の三重塔や、十一面観音菩薩像を拝観することができます。
⇒法起寺についてはこちらをご覧ください
中宮寺周辺地図

以上、中宮寺についてでした!
こちらのページが拝観のご参考になりましたら幸いです^^
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中宮寺と同じく聖徳太子が創建されたお寺です。中宮寺と法隆寺夢殿は近いので、できれば一緒に行かれることをおすすめします。
中宮寺と同じ斑鳩にある古寺で、聖徳太子の子・山背大兄王が創建したお寺と言われています。飛鳥時代の初期仏像が見られます。
こちらも中宮寺と同じ斑鳩にある古寺で、聖徳太子の子・山背大兄王が岡本宮を寺に改めたのが始まりと言われています。
中宮寺と同じく「太子建立七大寺」の一つで、国宝第1号『弥勒菩薩半跏思惟像』でお馴染みの古寺です。