奈良古寺【秋篠寺】 

秋篠寺についてAbout Akishinodera

秋篠寺は住宅や畑に囲まれ、森の中にひっそりと佇む静かな古寺です。

よつぐ
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秋篠寺の歴史について簡単に見ていきますね

奈良時代末期の宝亀7年(776年)、光仁天皇の勅願により法相宗の僧・善珠(ぜんしゅ)が創建したと言われています。
※ただ、この地域には当時秋篠氏の氏寺があり、その寺院が起こりであるとみる説もあります

伽藍は金堂をはじめ、講堂や東西両塔などを備える寺院でしたが、保延元年(1135年)の兵火により伽藍の大部分が焼失し、講堂他数棟を残すのみとなりました。

室町・桃山時代に一時は復興されますが、明治期の廃仏毀釈の影響から寺域の大半を失うことになり、現在に至っています。

創建時は法相宗、平安期には真言宗、明治期以降は浄土宗と変わっていきましたが、現在は特定の宗旨を持たない単立寺院となっています。

秋篠寺の見どころHighlights

ここでは、秋篠寺でぜひ見てほしい!と個人的に感じたところを厳選してご紹介いたします。

思てたんとちゃう!
『木造伎芸天立像』

やはり秋篠寺といったら「東洋のミューズ」と称される伎芸天(ぎげいてん)。

ただ仏像に限らずですが、「東洋のミューズ」とかの枕詞(まくらことば)やキャッチフレーズは、ハリウッドザコシショウよろしく誇張しすぎるきらいがあるので、正直言ってそんなに期待していませんでした。

本堂やや左隅のあまり目立たないところに置かれていたので、やっぱりそんなもんなんだろうな~と思いきや、そこには…

何かを口ずさんでいるような微笑みと、包容力のある肉感的なお姿。こんな言葉が適当かわかりませんが、とても色っぽい…「ミューズや、ほんまに東洋のミューズや…」と思わず心でつぶやいてしまいました笑

良い意味で思っていたのと違う美仏がそこにありました

またこちらの伎芸天は、見る角度によって微笑んでいるように見えたり見えなかったりする、何とも不思議な仏像です。

はっきり言って、この伎芸天を見るためだけに秋篠寺に行くのもアリだと思います。

よつぐ
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堂内は撮影禁止で、書籍やパンフレットにも著作権があるため仏像の写真が載せられません。と言いますか、伎芸天は絶対現地で見るべきです!

コレってアレっぽい
『五大力菩薩』

伎芸天の他に目を引いたのが、本堂の左端に置かれた「五大力菩薩(推定平安時代末期)」。その名の通り、五体の菩薩で構成されています。

五大力菩薩像は全国的にも例が少なく、特に平安時代のものとしては秋篠寺と、茨城県の月山寺の像のみと言われるから非常に貴重です。

「菩薩」という名前とは裏腹に、五体の仏像皆さんが忿怒(ふんぬ)の形相をしていてイカツイお顔。五大力菩薩を前に、思わず背筋がピッと伸びました。

そして、五体それぞれポージングを決めています。

なんかこんな感じどこかで見たことがあるような……ああ!ギニュー特戦隊!私はドラゴンボールに出てくるギニュー特戦隊のポージングに見えてしまいました笑

そんなところを含めてご覧いただけたらと思います(?)

よつぐ
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わからない方は「ギニュー特戦隊 ポーズ」で検索

時間が止まった
秋篠寺の境内

秋篠寺は下記の写真のように、境内の中は森になっています。

そして参道の両端は苔に覆われていて幻想的です。

境内の外は絶え間なく時を重ねているのに、境内に入るとピタっと時間が止まったように感じました。

奈良市中心部からやや離れているということもあって参拝客も少なめですので、街中の喧騒から少し距離をとりたいなと感じた場合には非常におすすめです。

よつぐ
よつぐ

本堂手前までは拝観料はかからないので、境内でのんびり散歩するのもおすすめです

ぐるっと秋篠寺Around Akishinodera

見どころで取り上げたもの以外で、秋篠寺の境内で気になったものをご紹介します。

よつぐ
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境内をゆっくり一回りした場合の所要時間は30分くらいです

本堂

元は秋篠寺の講堂で、金堂焼失後に本堂として利用するため再建されました。再建は鎌倉時代で、国宝に指定されています。

開山堂

本堂に向かって左側にあるお堂で、秋篠寺の創建者と言われる善珠僧正を祀るお堂です。

大元堂

開山堂の南側にあるお堂で、御本尊は「大元帥明王像」です。毎年6月6日のみ開扉され拝観することができ、毎年かなりの賑わいになります。

かミ奈り石

本堂の前方右側にある石で、昔この地域に雷がよく落ちたので雷を捕まえ、雷のヘソをとってそれ以外をこちらに埋めたといわれています。それ以来ここに雷が落ちることがなくなったとか。

東塔・西塔跡

南門近くにかつてあった東西両塔(三重塔)の跡があります。東塔部分のみ写真のように礎石が残されていますが、西塔跡には特に何も残っていないように見えます。

金堂跡

かつてあった秋篠寺金堂の跡です。礎石と見られる石がぽつぽつと残っているものの、ほとんど苔に覆われている状態になっています。

香水閣

ここに香水井(こうずいい)という井戸があり、僧・常暁が水面に大元帥明王像を見たそうです。こちらも毎年6月6日のみ公開され、井戸水を飲むことができます。

十三社

香水閣の近くにあります。春日社や稲荷社などの小さな社殿がその名の通り、十三社祀られています。由緒がよくわかりませんが、何か鎮守の意味でもあったのでしょうか?

アクセスと拝観情報Access & Information

秋篠寺へは最寄り駅(近鉄「大和西大寺」駅)からバスで行くか、大和西大寺駅から徒歩のいずれかで行くのがおすすめです。

最寄り駅からバスで行く場合

近鉄大和西大寺駅から出ている奈良交通バスをご利用される場合は、「押熊」行のバスに乗り、バス停「秋篠寺」で降ります。

バス停に降り、バスの進行方向に進みますと秋篠寺への方向を示す矢印の看板が見えますので、そこで左へ曲がりそのまま進むと秋篠寺の東門に到着します。

バスの乗車時間は約4分です。
大和西大寺駅から「秋篠寺」への時刻表

最寄駅から徒歩で行く場合

大和西大寺から徒歩で行く場合は、北西の方向へ向かって歩いていきます。

徒歩の場合ですと約18分になります。

拝観時間9:30~16:30
拝観料大人(高校生以上):500円
中学生:200円
小学生:100円
※団体割引あり
所在地奈良県奈良市秋篠町757
TEL0742-45-4600
ホームページなし
その他無料駐車場有

ちょっとそこまでNeighborhood

秋篠寺の周辺にある観光スポットやおすすめのスポットをご紹介します。

よつぐ
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お時間があればぜひ一緒に行ってみてください

八所御霊神社

南門のすぐ前にあり、元は秋篠寺の鎮守社です。創建は宝亀11年(780年)と言われています。秋篠寺と同様、保延元年(1135年)の兵火がこちらにも類焼したそうです。

奈良競輪場

奈良県営の競輪場です。東門から東の方角(バス停のある方)に向かって徒歩2分ほどのところにあります。大和西大寺駅から無料の送迎バスが出ています。

西大寺

聖武天皇の娘である称徳天皇が創建したお寺です。秋篠寺と同様、近鉄「大和西大寺」駅が最寄り駅なので西大寺と秋篠寺を同時に拝観されることをおすすめします。

秋篠寺周辺地図