奈良古寺【安倍文殊院】
安倍文殊院についてAbout Abemonjuin
安倍文殊院は陰陽師として有名な安倍晴明ゆかりのお寺で、桜の名所としても知られています。
まずは安倍文殊院の歴史について簡単に見ていきますね
華厳宗。山号は「安倍山」。
大化元年(645年)、孝徳天皇の勅願により安倍倉梯麻呂(あべのくらはしまろ)が安倍一族の氏寺として「安倍山崇敬寺(安倍寺)」を建立したのが始まり。
元は現在地より300mほど南西の位置にありましたが、平安末期に別寺の僧兵による焼き討ちに遭い全焼し、その後現在地で再興されました。
永禄6年(1563年)、今度は松永久秀の兵火によりほとんどが焼失してしまいましたが、約100年後の寛文5年(1665年)に現在の本堂が再建されました。
日本三文殊(「奈良県・大和安倍の文殊」「京都府・天橋立切戸の文殊」「山形県・奥州亀岡の文殊」)のひとつとして、多くの方からの信仰を集めるお寺です。
安倍文殊院の見どころHighlights
これぞ真髄!
『騎獅文殊菩薩像』
安倍文殊院という名前の通り、本堂のご本尊は「文殊菩薩」様になります。
鎌倉時代の快慶作で、その高さなんと約7m!文殊菩薩像としては日本最大です。
お顔は切れ長の目でクールな印象。「三人寄れば文殊の知恵」という言葉からもわかる通り、文殊菩薩は智恵の仏様で、お顔から聡明さがひしひしと伝わってきます。
獅子に乗り、辺りを俯瞰しているような様は「これぞ文殊菩薩の真髄!」と思わせる威厳と風格を感じます。
堂内は撮影禁止で、書籍やパンフレットにも著作権があるため仏像の写真が載せられません。ぜひ現地でご覧ください!
その他、文殊菩薩に向かって右側には「善財童子(ぜんざいどうじ)像」と「優填王(うでんのう)像」、左側には「須菩提(すぼだい)像」と「維摩居士(ゆいまこじ)像」が立っています。
善財童子のちょっとお茶目な感じが個人的に好きです笑
5体すべて国宝と言うから絶対に見る価値アリです!
5体の仏像は間近で見ることができないようになっていますが、椅子が置かれているので心行くまでじっくり見ることができます。
本堂内ではこの5体以外にも弘法大師像など、数多くの仏像をみることができます。また、四国八十八か所のお砂踏みができるところもあります。
ぐるぐるぐるぐる
『金閣浮御堂』
本堂の南に文殊池という池があります。その池の中央には六角形のお堂が建っており、『金閣浮御堂』と呼ばれています。
金閣浮御堂では「七まいり」という厄除け・魔除け祈願ができるようになっています。七まいりの方法はざっくり言うと次のような感じです。
- 受付で7枚つづりの「魔除七まいり札」を受け取り、まずは浮御堂の前で合掌一礼
- 浮御堂を時計回り(右回り)する
※その際、「〇〇しないように」という願い事をする - 1周するごとに七まいり札を1枚切り取って、お堂前にある箱に入れていく
- 7周回って七まいり札がなくなったら、お堂の中に入る(願い事は1周ごとに変えても、7周同じものでも可)
※7周するのが大変な場合は1周目で七まいり札を全部入れても良いとのこと
お堂と通路の幅が一部非常に狭くなっているところがあるので、池に落っこちないように注意してください笑
ちなみに、魔除七まいり札は下記のようなものです。
池の上をぐるぐる回るという貴重な体験ができます。特に桜の時期はとてもきれいで、1周回るごとに心が浄化されていくような感じがします。
堂内では弁財天をはじめ、安倍仲麻呂や安倍晴明の御尊像、十二天御尊軸などが祀られています。
※十二天は時期によって秘仏になっており、ゴールデンウィーク中のみすべて開帳されます
ぜひ金閣浮御堂の七まいりを体験してみてください!
安倍晴明も見た
『天文観測の地』
境内の東の端に「合格門」という門があり、その石段を上がっていくと展望台があります。
この展望台は安倍晴明が天文観測をしたところと伝わっており、『安倍晴明公 天文観測の地』という石碑が建っています。
こちらの展望台から見える景色は絶景で、金閣浮御堂をはじめ、大和三山(香具山・畝傍山・耳成山)や二上山、葛城山を望むことができます。
また、例年11月から翌年4月下旬頃まで楽しめる、パンジーで描かれた干支の花絵(ジャンボ花絵)も見ることができます。
ジャンボ花絵を見るなら、やはり桜の季節がおすすめです
その他、こちらには安倍晴明を祀った「晴明堂」というお堂があり、お堂中央に置かれている「如意宝珠」を撫でることで、心願成就や災難除けの御利益があるとされています。
ぐるっと安倍文殊院Around Abemonjuin
見どころで取り上げたもの以外で、安倍文殊院の境内で気になったスポットなどをご紹介します。
境内をゆっくり一回りした場合の所要時間は1時間半くらいです
表山門
「下馬」という大きな石が置かれています。いつでも参拝できるようにと、創建以来一度も門が閉じられたことがないそうです。境内は無料なのでお気軽に!
本堂
寛文5年(1665年)に再建されたものです。安倍文殊院は学業成就のお寺として信仰を集めており、受験生や学力向上を願う人たちの絵馬が数多く飾られています。
稲荷社
本堂のすぐ隣の石段を上がっていったところにある神社です。安倍晴明の母とされる白狐・信太森葛葉稲荷(しのだのもりくずのはいなり)が祀られています。
西古墳
本堂の近くにあります。内部は大化元年(645年)当時のまま保存されている貴重な古墳で、安倍寺を創建した安倍倉梯麻呂の墓とみられています。
東古墳
境内の東の端にあります。飛鳥時代に造立されたもので、「閼伽井(あかい)の窟」とも呼ばれています。枯れることのない泉があったそうです。
白山堂
東古墳の前にあります。室町時代に建立され、重要文化財になっています。縁結びの神様として信仰されています。
智恵のらくがん
本堂の拝観をした場合に記念品としていただけるお菓子です。甘みがあるので、境内を一回りしてほっと一息したい時におすすめです。ポストカードも入っています。
御朱印
拝観受付のところで御朱印を書いていただけます。いくつか種類がありますが、「智恵佛」と書いていただきました。拝観の前に御朱印帳を渡しておかれることをおすすめします。
御朱印(限定)
安倍文殊院では春夏秋冬それぞれに限定御朱印が用意されています。こちらは春用で、ウサギと桜が描かれています。ウサギは文殊菩薩が卯年の守り本尊だからだそうです。
アクセスと拝観情報Access & Information
安倍文殊院へは最寄り駅から徒歩かバスを利用して行きます。
徒歩で行く場合
安倍文殊院の最寄駅はJR/近鉄「桜井」駅です。
桜井駅南口から南西の方向へ進んでいくと安倍文殊院に着きます。
徒歩だと約23分かかります。
バスで行く場合
JR/近鉄「桜井」駅からコミュニティバスあるいは奈良交通バスが出ています。
バスは「桜井駅南口」か「桜井駅北口」乗り場から乗ります。
※「桜井駅北口」はコミュニティバスのみ
降りるバス停は「安倍文殊院」で、表山門のすぐ近くです。
コミュニティバスの方が運賃は安いです
拝観時間 | 9:00~17:00 ※御祈祷は9:00~16:00 |
拝観料 | 【本堂(参拝記念品付)】 大人(中学生以上):700円 小学生:500円 【金閣浮御堂】 大人(中学生以上):700円 小学生:500円 【本堂・金閣浮御堂共通券】 大人(中学生以上):1200円 小学生:800円 ※団体割引あり(10名以上) |
安倍文殊院に初めて行くなら「本堂・金閣浮御堂共通券」がおすすめです
所在地 | 奈良県桜井市阿部645 |
TEL | 0744-43-0002 |
ホームページ | https://www.abemonjuin.or.jp/ |
その他 | 駐車場有 JAFクーポン利用可 ※ただし、「本堂・金閣浮御堂共通券」を購入した場合は利用不可 |
ちょっとそこまでNeighborhood
安倍文殊院の周辺にある観光スポットやおすすめのスポットをご紹介します。
お時間があればぜひ一緒に行ってみてください
史跡安倍寺跡
安倍文殊院の前身である安倍寺があった場所です。安倍文殊院から南西に歩いて5分ほどのところにあります。公園のようになっていて、こちらでも安倍文殊院と同様、桜をたくさん見ることができます。
聖林寺
安倍文殊院と同じ桜井市にある古寺です。ご本尊の「子安延命地蔵」や、国宝「十一面観音立像」が見られます。安倍文殊院からだと南東に向かって徒歩35分ほどのところにあります。
大神神社
日本最古の神社の一つと言われています。御神体は三輪山で、本殿がありません。縁結びや交通安全の御利益があるとされています。大神神社の最寄り駅であるJR「三輪」駅は、安倍文殊院の最寄り駅であるJR桜井駅の1つ隣です。
長谷寺
安倍文殊院と同じ桜井市にある古寺です。別名「花の御寺」と呼ばれているくらい一年中お花が楽しめます。安倍文殊院の最寄り駅である近鉄桜井駅から長谷寺駅まで乗車時間は6分ほどです。
安倍文殊院周辺地図
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安倍文殊院と同じ華厳宗のお寺で、東大寺が総本山になります。大仏殿や二月堂、法華堂など見どころが多いです。
同じく華厳宗のお寺です。国宝に指定されている「薬師如来坐像」と「十二神将立像」で有名です。
安倍文殊院と同じく、文殊菩薩が祀られています。安倍文殊院に比べると小さいですが、近くで見ることができます。