奈良古寺【法隆寺】 

法隆寺についてAbout Horyuji

法隆寺は”立体教科書”というべきところで、観光だけでなく社会見学や修学旅行で定番のお寺です。

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まずは法隆寺の歴史について簡単に見ていきますね

聖徳宗総本山。南都七大寺の一つ。世界遺産。

推古天皇15年(607年)、聖徳太子(厩戸皇子)により創建されました(創建当時の名称は「斑鳩寺(いかるがでら)」)。聖徳太子の死後、斑鳩宮跡地に新たに東院伽藍(夢殿など)が造立されます。

法隆寺は天智天皇9年(670年)に焼失したという記述が日本書紀にあったものの、創建時のままだと長らく考えられていました。しかし昭和14年(1939年)、境内にある旧伽藍(若草伽藍)を調査すると、塔と金堂のものと思われる2つの基壇(建物の基礎部分)が発見されました。

これにより、現在の法隆寺は創建時のものではなく、焼失後再建された可能性が高いとみられています。

法隆寺はこれまで何度か火災には遭っているものの、東大寺や興福寺のような大規模な兵火の被害は免れたため、日本最古のものが多く見られる貴重なお寺です。

法隆寺の見どころ5選Highlights

法隆寺の見どころを5つ厳選してご紹介いたします。

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ぜひここに注目しながら拝観してみてください

天まで届け!五重塔

拝観入口を進んで真っ先に目に入るのがおそらく五重塔だと思います。その美しさと言ったら半端ありません。個人的にはこの写真のように、やや斜め下から眺めるのが好きです。

上層に向かって細くなっていくので、下から見上げていると天まで届くような印象を受けます。こういった形はよく「逓減(ていげん)が大きい」という表現をしますが、これは古い塔の特徴です。

時代が下ると、下層と上層の大きさの変化が少ない、いわゆる「逓減が小さい」塔になっていきます。興福寺の五重塔はまさに逓減が小さい塔です。

同じ塔でも、こういう風に形を見比べてみるのも楽しいと思います。
※ただ、興福寺の五重塔は修復作業のためしばらく見られません…

必見!金堂と釈迦三尊像

法隆寺の中で最も古い、と言いますか世界最古の木造建築が法隆寺の金堂です。世界レベルの建物が目の前に!これは必見です。

また、この金堂に納められている「釈迦三尊像(釈迦如来・薬王菩薩・薬上菩薩)」も見逃せません。こちらは歴史の教科書でほぼ間違いなく出てくる仏像です(作者は飛鳥大仏も作った鞍作止利:くらつくりのとり)。

仏像というと、ふくよかで丸みのあるお顔のイメージがありますが、こちらの釈迦如来は面長で、さらに腕が異常に短いという特徴があります。わずかに笑みを浮かべたアルカイックスマイルも印象的です。

初期の仏像とはどういうものなのか、ぜひ生でご覧ください。

その時歴史は動いていた!伽藍配置

お寺の建物全体を”伽藍(がらん)”といいますが、仏教が日本に伝わった時は、門から一直線上(縦)に「塔」「金堂」「講堂」が並ぶ伽藍配置が主流でした。

この伽藍配置では「塔」が中心になります。塔はいわばお釈迦様のお墓で、当初はお釈迦様を崇拝することが一番だったことになります。

しかし、現在の法隆寺の伽藍配置を見ると、金堂(写真左側)と塔(写真右側)が縦ではなく、左右一列で並んでいます。金堂は本尊をお祀りするところで、お釈迦様と本尊(仏像)が同等であることを示しています。

つまり現在の法隆寺から、少なくとも法隆寺の再建時(「法隆寺について」参照)にはこれまでの伽藍配置(崇拝の対象)の歴史が変わっていたことを垣間見ることができます。

200年の封印が解かれた秘仏

法隆寺の東に「夢殿(ゆめどの)」という八角形のお堂があります。こちらの御本尊は「救世(くせ)観音菩薩立像」です。

この救世観音菩薩立像、色々曰くつきでして、触れると祟りが起こるという言い伝えがあり、200年にわたって厳重に封がされ、だれも触れないようにしていたそうです。

しかし明治時代に、アーネスト・フェノロサらからぜひ見たい!と言われ、当時のお坊さんは「まじかよ〜」って思ったと思いますが、しぶしぶその封印を解きました!

救世観音菩薩立像は「聖徳太子の生き写し」とも言われていて、わずかに笑みを浮かべたアルカイックスマイルが印象的ですが、残念ながら春と秋の年2回しか公開されません。

これで元が取れるぞ・大宝蔵院

法隆寺の拝観料は1500円(中学生以上)と、他のお寺に比べるとお高めです。しかしこの大宝蔵院に行けば十分元が取れたと感じるでしょう。

教科書によく出てくる「玉虫厨子(たまむしのずし)」をはじめ、悪夢を良い夢に変えてくれるという「夢違(ゆめちがい)観音像」などなど、すばらしい宝物を数多く見られます。

そして、この大宝蔵院中央の百済観音堂におわします百済観音様のすらっとしたお姿、柔和なお顔を見ると思わず手を合わせて見とれてしまいます。

ちなみに、「百済観音」という名前ですが、百済で作られたものではなく、日本国内で作られた可能性が高いようで、名前の由来はよくわかっていないそうです。

誰も開けてはならぬ?伏蔵

西大門の近くに写真のような木の枠があるですが、これは「伏蔵(ふくぞう)」といいます。実はこれ…法隆寺の金庫なんです!

長い歴史の中で失火や天災を避けることはできず、もしそれらが起こった時には莫大な再建費用がかかります。そういった万が一の時のために、お金や財宝を保管しておくところとして伏蔵が作られました。

しかし今まで開けられることはなかったとか…それは聖徳太子が「この寺が本当にやばくなった時しか絶対開けちゃいかんぞ!(想像)」との命があったためです。ですので、実際のところ本当にお金や財宝が入っているかどうかはわかりません…

ちなみに伏蔵はここ以外にも、金堂内と経蔵内にもありますが、そちらは非公開になっています。

ぐるっと法隆寺Around Horyuji

法隆寺の境内には他にも注目してほしいスポットや展示物があります。
ここでは厳選してご紹介します。

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境内をゆっくり一回りした場合の所要時間は1時間半くらいです

南大門

法隆寺の参道を北上していくと最初に見えます。最初の南大門は法隆寺内部の対立が原因で焼失しましたが、室町時代に再建されました。南大門から中門や五重塔がチラッと見えるのが良い感じです。

鯛石

南大門の手前にある魚のような形をした石です(写真左が尾びれ)。大和川の氾濫の際、この鯛石のところまでしか水が来なかったという言い伝えがあり、踏むと水難に遭わないと言われています。

中門

南大門の先にあるのが中門です。こちらは飛鳥時代のもので、木造としては世界最古の門です。阿形(あぎょう)と吽形(うんぎょう)の金剛力士像が迎えてくれますが、ここからは入れません。

回廊

五重塔や金堂などを囲うように回廊が巡らされています。こちらは奈良時代のもので、薬師寺の回廊とはまた違って渋いです。柱にやや膨らみがあるのが特徴です。

大講堂

五重塔や金堂の北側にあるのが大講堂です。こちらは平安時代に再建されたようです。大講堂の中には薬師三尊像(薬師如来・日光菩薩・月光菩薩)が祀られています。

桂昌院灯籠

大講堂の前に銅製の灯籠があります。こちらは徳川綱吉公と母・桂昌院から寄進を受けた際に作られた灯籠で、桂昌院灯籠というそうです。しっかり三つ葉葵の御紋が入っています。

聖霊院

鎌倉時代に建てられたもので、聖徳太子の像などが安置されています。ただし通常は非公開で、3/22のみ公開されます。歩くと床がキュッキュッと心地よい音が鳴ります。

御朱印

法隆寺の御朱印は聖霊院でいただけます。聖徳太子が制定した『十七条憲法』冒頭に掲げられている「以和為貴(和を以て貴しと為し)」と書いていただけます。

正岡子規句碑

法隆寺といったら正岡子規のこの有名な俳句「柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺」の句碑です。聖霊院の前にある池(鏡池)のすぐ隣に建てられています。

東大門

東院伽藍(夢殿)の方へ行くと見えてくるのが東大門で、こちらは奈良時代に作られたものです。奈良時代の門はこちらと東大寺の転害門しかないので、法隆寺中門と同様貴重です。

東院鐘楼

東院伽藍(夢殿の近く)にある鐘楼です。鐘楼自体は平安〜鎌倉時代のものですが、中の梵鐘は奈良時代のもので、元は中宮寺にあったものと見られています。

西円堂

法隆寺北西の隅にあるもので、行基が建立したという伝承があります。現在のお堂は鎌倉時代に再建されました。堂内には奈良時代の薬師如来坐像が安置されています。

アクセスと拝観情報Access & Information

法隆寺へは最寄駅から徒歩で行くか、最寄りのバス停まで奈良交通バスを利用して行く方法があります。

最寄駅から徒歩で行く場合

法隆寺の最寄駅はJR大和路線「法隆寺」駅です。

法隆寺駅北口から北の方向へ進んでいき、突き当たりのところで左に曲がると法隆寺南大門につづく参道に着きます。

徒歩だと約24分かかります。

各駅からバスで行く場合

法隆寺へはJR法隆寺駅をはじめ、JR王寺(近鉄新王寺)駅、近鉄郡山駅、JR/近鉄奈良駅から奈良交通バスが出ています。

降りるバス停は「法隆寺前」ですが、JR法隆寺駅から出ている72系統のバスのみ「法隆寺参道」というところでも降りられます。
JR法隆寺駅から「法隆寺前」への時刻表
JR王寺/近鉄新王寺駅から「法隆寺前」への時刻表
近鉄郡山駅から「法隆寺前」への時刻表
JR奈良駅から「法隆寺前」への時刻表
近鉄奈良駅から「法隆寺前」への時刻表

JR法隆寺駅とJR王寺(近鉄新王寺)駅ではコミュニティバスも出ています

拝観時間8:00~17:00 (2/22〜11/3)
8:00~16:30 (11/4〜2/21)
※閉館時間が近づくと入れない施設あり
拝観料大人(中学生以上):1500円
小学生:750円
※団体割引あり (30名以上)
※身障者割引あり

2025年3月より拝観料が変わります。詳しくはこちらをご覧ください。
所在地奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内1-1
TEL0745-75-2555
ホームページhttp://www.horyuji.or.jp/
その他近隣に民間有料駐車場有

ちょっとそこまでNeighborhood

法隆寺の周辺にある観光スポットやおすすめのスポットをご紹介します。

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お時間があればぜひ一緒に行ってみてください

中宮寺

中宮寺は聖徳太子が母のために創建した尼寺です。法隆寺夢殿のすぐ隣にあります。光沢のある「菩薩半跏像」は必見です。本堂ではお線香なのか、すごく甘い香りがします。拝観者のために解説音声が用意されています。

法輪寺

法輪寺は法隆寺の北に位置する古寺です。聖徳太子の子・山背大兄王(やましろのおおえのおう)が創建したといわれています。こちらでは「薬師如来坐像」「虚空蔵菩薩立像」「十一面観音菩薩立像」などを拝観することができます。

法起寺

法起寺は法隆寺の北東に位置する古寺で、聖徳太子の子・山背大兄王が岡本宮を寺に改めたのが始まりと言われています(法隆寺とともに世界遺産)。現存最古の三重塔や、十一面観音菩薩像を拝観することができます。

斑鳩神社

菅原道真を祀る神社。法隆寺別当で湛照(たんしょう)僧都が、自身が菅原氏の子孫であるとのことから創建したそうです。法隆寺の鬼門(北東)にあるため、法隆寺の鎮守社となっています。法隆寺から500mほどで徒歩約8分で行けます。

法隆寺周辺地図